「酸味がはっきりして海の香りも」沖縄在来の野生ブドウでワインを自家醸造する夫婦の挑戦
沖縄で製造される県産ワインについて、夫婦が挑戦する様子が描かれている。
リュウキュウガネブという在来のブドウを使用し、自家栽培からワイン製造まで手がける中田夫妻の情熱が伝わる。
沖縄県産ワイン「涙」は、沖縄料理との相性も良く、地元での評判も上々である。
沖縄の酒といえばオリオンビールや泡盛を思い浮かべる方も多いが、いま沖縄ではワインの製造が行われている。目標は「世界に誇れるワイン」。
沖縄県産ワインを新たな観光資源にしようと、自家醸造に挑戦する夫婦を取材した。
ワインを飲んだソムリエの感想
「酸味が非常にはっきりしているというところが印象的ですね」
「海の香りとかもあるので、お土産や県外から来た人とかと一緒に飲めたらいいなと」
ソムリエの方々が舌鼓を打つのは、恩納村で採れたブドウで作られた「沖縄県産ワイン」
中田浩司さん:
亜熱帯でブドウが育つ、ワインができるんだよというのは革命だと思いますね
沖縄からワイン界に革命を起こす夫婦に密着した。
恩納(おんな)村真栄田で宿泊施設を備えたレストラン「オーベルジュ」を営むシェフの中田浩司さん。
中田浩司さん:
地元のワインを自ら醸造したものをお客さんに飲んでもらう。それが目標だったのでやっと叶ったかなと
沖縄在来の野生ブドウ「リュウキュウガネブ」
県産のワインを開発しようと、2007年から妻の朋子さんと原料となるブドウの栽培を始めた。
中田朋子さん:
この粒々がブドウのタネになり、実になり大きくなっていくんですね
育てているのは、沖縄在来の野生ブドウ「リュウキュウガネブ」。
県外で栽培されているブドウの品種は亜熱帯の気候には適しておらず、「沖縄でワインを作るのは難しい」と考えられてきたが、中田さんは諦めなかった。
中田浩司さん:
沖縄でヨーロッパの品種を育てようとは思わない。ただ、沖縄に自生しているような原種のヤマブドウがあるならば、作るべきだと思ったのではじめました
リュウキュウガネブの栽培は、苦難の連続だった。
一般的なブドウと違いリュウキュウガネブは雄株と雌株が分かれていて、風や虫に花粉を運んでもらわないと受粉し、実をつける事ができないため、その分、農業の技術や経験が必要だった。
2人はリュウキュウガネブについて研究し、試行錯誤を繰り返しながら、徐々に収穫量を増やしていった。
中田浩司さん:
農家でもなく、あくまでも僕は料理人なので、わからないことばかりで手探りでやっていました
そして2013年、関東のワイナリーに醸造を委託し、少量だがリュウキュウガネブのワインを店で提供できるようになった。
その名も「涙(なだ)」。
うれしい涙に寄り添えるようにという気持ちを込め、「涙(なだ)そうそう」の歌のイメージの「涙」にしたという。
ソムリエの資格を持つ朋子さんは、チャンプルーやラフテーなどの沖縄料理にすごく相性が抜群だと話す。