都会のビルに野菜工場、収穫からお届け最短30分…年間300品種を水耕栽培「無農薬で鮮度良く」

AI要約

福岡市中心部のビルで、年間約300品種の葉物野菜を水耕栽培する会社が注目を集めている。経営する自称「野菜オタク」の国村隼太さん(27)は、収穫から最短30分で届く宅配代行サービスで葉物野菜を販売しながら、百貨店などに栽培用の棚を設けた即売も展開するなどしている。

国村さんは「都会の畑」を広げようと、県外進出も準備している。

福岡市中央区舞鶴の市道に面したビルの1階。通行人が、大きな窓の向こうに見える多くのレタスなど葉物野菜に目を奪われていた。ここが、国村さんの会社「GG.SUPPLY」(ジージーサプライ)の野菜工場だ。

 福岡市中心部のビルで、年間約300品種の葉物野菜を水耕栽培する会社が注目を集めている。経営する自称「野菜オタク」の国村隼太さん(27)は、収穫から最短30分で届く宅配代行サービスで葉物野菜を販売しながら、百貨店などに栽培用の棚を設けた即売も展開するなどしている。国村さんは「都会の畑」を広げようと、県外進出も準備している。(池田寛樹)

 福岡市中央区舞鶴の市道に面したビルの1階。通行人が、大きな窓の向こうに見える多くのレタスなど葉物野菜に目を奪われていた。ここが、国村さんの会社「GG.SUPPLY」(ジージーサプライ)の野菜工場だ。

 2022年1月に稼働を開始。室温と湿度を調整する約70平方メートルの部屋には、5段になった棚の列が並ぶ。棚には肥料を溶かした水が24時間流れ、太陽光の波長に近い専用のLEDで照らされている。農薬は使わない。国村さんは同年代のスタッフと2人で栽培に励む。

 これまでに3000品種以上の野菜の栽培に挑戦。室内栽培でも旬の品種を選ぶ。「季節に合わせた方が、野菜本来の味や特長を出しやすい」と話す。

 国村さんは子どもの頃、ぜんそくやアトピーで薬を欠かせなかったが、「母の野菜をたくさん使った食事のおかげで、だんだん丈夫になった」と振り返る。大学時代には、食事が健康に与える影響に関心を持ち、自宅で水耕栽培を始めた。

 在学中から福岡市の農業コンサルティング会社の仕事を手伝い始め、各地域で栽培された野菜が大都市圏で消費されるまでに、「輸送や保管に7~10日程度かかり日持ちしなくなる」と考えるようになった。「無農薬で鮮度が良い状態で食べてもらうためには、消費地で生産するのが一番いい」と、21年6月に会社を設立した。

 栽培作業では無菌も徹底し、種まきから収穫までの3~5週間の作業は、棚の担当を分けて1人で完結させることにしている。昨年はレタス約200種、ハーブ約100種を作った。