SDGsの取り組み 7割の企業が「前向き」 企業規模で目標設定に差、イメージアップ目的も

AI要約

2015年に国連加盟国が採択したSDGs(持続可能な開発目標)について、企業の認識や取り組み状況が調査され、7割以上が重要性を認識していることがわかった。

企業はSDGsをブランディング戦略の一環として捉え、目標達成に向けた課題や格差も認識している。政府も2030年までの達成を目指し、SDGsへの取り組みを促進している。

規模別では、大企業がSDGsへの取り組みが中小企業を上回っており、経営資源や業績の差が影響していることが示唆されている。

SDGsの取り組み 7割の企業が「前向き」 企業規模で目標設定に差、イメージアップ目的も

 2015年に国連加盟国が採択したSDGs(持続可能な開発目標)について、重要性を認識している企業が7割に達することがわかった。一方、SDGsの取り組みを重要と思わない企業は1割未満にとどまり、認知度は広がっている。 取り組む意義については、「企業イメージの向上」が7割を超え、ブランディング戦略の一環としてとらえている企業も少なくない。

 東京商工リサーチは、6月3日~10日に企業を対象にSDGsの取り組み状況についてアンケート調査を実施した。「SDGsの重要性を理解し、現在取り組んでいる」と回答した企業は40.8%で、「重要性を理解しており、現在取り組んでおらず今後取り組みたい」と回答した29.2%を合わせ、全体の70.1%がSDGsの重要性を認識している。

 SDGsに取り組む意義は、「企業イメージの向上」をあげた企業が7割を占めた。環境、社会、経済の3つの側面を目標に取り込むが、ブランディング戦略の一環として取り組む企業が多い。また、人材不足や費用負担などで格差も生じており、目標達成への課題も浮き彫りになっている。

 政府は2023年12月19日、SDGs実施指針を4年ぶりに改訂した。国際社会全体が複合的危機に直面するが、2030年までにSDGsの達成を目指す方向性に変化はないとした。2030年に向けてSDGsの取り組みが加速していくが、同時に企業の社会的責任も重みを増している。

※ 本調査は、2024年6月3日~10日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,963社を集計・分析した。

※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

◇SDGsへの取り組みは大企業が中小企業を25.9ポイント上回る

 SDGsの「重要性を理解しており、現在取り組んでいる」と回答した企業は、全企業の40.8%(4,963社中、2,029社)を占めた。「重要性を理解しており、現在取り組んでおらず今後取り組みたいと思っている」は29.2%(1,451社)で、合計70.1%(3,480社)の企業が前向きにとらえている。

 一方、「重要性を理解しているが現在取り組んでおらず、取り組む予定もない」と回答した企業は21.4%(1,063社)、「重要とは思わない」と回答した企業は8.4%(420社)にとどまった。

 規模別では、SDGsに対して「現在取り組んでいる」と回答した企業は、大企業が64.0%(518社中、332社)に対し、中小企業は38.1%(4,445社中、1,697社)で、25.9ポイントの差があった。

 次いで、「今後取り組みたい」と回答した企業は、大企業が23.5%(122社)に対し、中小企業は29.9%(1,329社)だった。大企業ほどSDGsへの取り組みは積極的で、経営資源や業績の差が影響しているとみられる。