「人は落ち込んだとき散財してしまう?」「なぜ〝$20.00〞より〝20.00〞のほうが売れる?」日常に潜む行動経済学

AI要約

人間の非合理な行動を研究する行動経済学について解説。

感情が人のお金の使い方に与える影響やキャッシュレスの影響について紹介。

経済も感情によって動かされる非合理な存在であることを考察。

「人は落ち込んだとき散財してしまう?」「なぜ〝$20.00〞より〝20.00〞のほうが売れる?」日常に潜む行動経済学

特に理由もないのに「なんとなく高いほうを買ってしまった」という経験はないだろうか? 感情によって不合理な行動をとってしまう人間と経済との関係を研究した学問が、行動経済学だ。

世界中でニーズが高まっている行動経済学をわかりやすく解説した書籍『行動経済学が最強の学問である』より一部を抜粋・再構成し、日常に潜む散財のリスクを明らかにする。

人間の非合理な意思決定に大きく影響を与えるアフェクトは、人のさまざまな「非合理な行動」を作り出しますが、その中でも「お金の使い方」について特徴的な行動を引き起こすことがあります。

あなたも経験があるでしょう。例えば、「気分が落ち込んだときに、ついお金を使いすぎてしまった」。もし人間が合理的な存在であれば、感情に任せてこのような散財をするようなことはしません。しかし、私たちはそのときの感情によって、「非合理なお金の使い方」をします。

そして、そんな「非合理なお金の使い方」をする人間の集まりが経済(ビジネス)ですから、当然、経済も感情によって動かされる非合理な存在なのです。

ここでは、感情がどのように人の「お金の使い方」に影響を与えるか、見ていきましょう。

先ほど、ネットショッピングではタッチパネルで買うほうがより商品を魅力的に思ってしまう「保有効果」を紹介しました。感情が「お金の使い方」に与える影響の例でもあります。

つまり、買う前の商品に対しては、「自分のもの」というアフェクトを持たないほうがいいわけですが、「お金そのもの」に対しては、「自分のもの」というアフェクトを持ったほうが無駄遣いはなくなります。また関連して、現金で決算するかキャッシュレスかという違いもお金の使い方に影響を与えます。

日本でも急激にキャッシュレス化が進み、消費者庁の発表によれば、普及率は2019年12月の54.2%から2022年2月には64.0%に増加しています。日本でもこれほど進んでいますが、アメリカはもはやほとんどの人が現金を使わない社会で、カードかスマホアプリで支払う習慣がすっかり定着しています。

しかし、行動経済学では、キャッシュレスの人のほうがお金を使いすぎてしまうことがわかっています。