「阿武隈急行」の赤字穴埋めする2県5市町の補助金、宮城・柴田町が2358万円の支払い拒否

AI要約

宮城、福島両県を結ぶ第3セクター「阿武隈急行」で、柴田町が支払いを拒否していた補助金について、様々な懸念が出ている。

補助金の負担割合をめぐり柴田町と他の自治体との協議が続いており、経営改善策も検討されている。

阿武隈急行の厳しい経営状況や利用者の減少にも関わらず、乗客増加の取り組みが行われている。

 宮城、福島両県を結ぶ第3セクター「阿武隈急行」(福島県伊達市)で、両県と沿線5市町が負担している補助金について、宮城県の柴田町が2023年度分の2358万円の支払いを拒否していたことがわかった。10日の株主総会後の記者会見で同社が明らかにした。沿線自治体などによる検討会は25年度末までに経営改善策を取りまとめる方針だが、「足並みの乱れ」を懸念する声も上がっている。

 拒否したのは、赤字を穴埋めする「運行継続支援事業補助金」。宮城県と角田市、丸森町、柴田町、福島県と福島市、伊達市が計約3億7900万円を支払う予定だった。

 柴田町によると、補助金は20年度から負担するようになり、22年度までは国の地方創生臨時交付金(コロナ交付金)を充てていたが、23年度は一般財源から捻出することになったという。柴田町は補助金の負担割合について角田市、丸森町と協議を続けており、「見直しを進めている状態のため支払えない」としている。

 一方、同社が10日に発表した23年度の決算では、鉄道事業の営業損益は5億1222万円の赤字となり、補助金などを加えた最終利益も3503万円の赤字だった。累積赤字は14億6466万円にまで膨らんだ。利用者はコロナ禍で激減した22年度比約47%増の約190万人となったが、厳しい経営は続いている。

 県内の他の沿線自治体の担当者は「阿武隈急行は全5市町で協調して支援していかないといけない」とし、柴田町が拒否したことについては「福島県内の自治体からは批判の声もあり、どうにかしてもらいたい」と不満も口にする。

 沿線自治体などによる検討会はBRT(バス高速輸送システム)への転換なども含めて議論を進めている。冨田政則社長は団体貸し切り列車の運行などで定期券利用者以外の乗客を増やす取り組みを進めているとし、「阿武隈急行に乗ってもらえるようなイベントを開催し、利用者を増やしていきたい」と述べた。