古河電工の放熱・冷却部品、高性能水冷方式市場に参入。生成AI関連向け受注

AI要約

古河電工が水冷方式の放熱・冷却部品へ参入する。空冷方式から転換し、半導体チップの高性能化に備える。

水冷式の製品を2026年度後半に立ち上げる予定で、データセンター向けの受注も進められている。

液浸方式にも参入し、成長するデータセンター市場で差別化製品を提供して収益拡大を目指す。

 古河電工は放熱・冷却部品について冷却性能が極めて高い水冷方式に参入する。現在は空冷方式などの製品を市場に展開。半導体チップの高性能化などに伴う発熱量増加に対応するため「水冷方式の製品の生産を2026年度後半にも立ち上げる」(機能製品統括部門長の大野良次執行役員常務)予定。データセンターで生成AI関連の情報を処理するサーバー向けで受注を獲得しているという。大野常務がこのほど行われた事業説明会で明らかにした。

 同社ではサーマル・電子部品事業として半導体チップの冷却などに用いるヒートシンクやヒートパイプなどの熱対策部品を製造・販売。生成AIの情報を処理するサーバーなどでは、半導体チップの高性能化に伴い熱の発生が大きくなることから、今後さまざまな方式の高性能な放熱・冷却部品の搭載が見込まれる状況となっている。

 どの方式でも対応ができる体制を整えるため、ホースなどを使い水を循環させて高い冷却性能を確保する水冷式への参入を目指してきた。顧客とコミュニケーションを密にして冷却する機器や半導体チップに関する情報を得ながら、蓄積してきた熱関連の技術を生かして研究開発を進めてきたという。

 大野常務は「顧客の開発初期段階からしっかり入り込み、困りごと解決のためのパフォーマンスを上げ、受注につなげていくことが重要」と話す。併せて継続的な提案活動を続けていく。

 また同社では電子基板などを液体に浸し、液を循環させる仕組みで広範囲の熱を高効率に逃がせる液浸方式にも参入する予定。

 今後は水冷・液浸方式への参入などで成長するデータセンター関連などの市場に差別化製品を提供し、収益を拡大させる方針。25年度までの2カ年でサーマル・電子部品事業の売上高を年率1割のペースで拡大させたい考えだ。