ジャナス・ヘンダーソン、日本の金融株はまだ割安-増配が魅力後押し

AI要約

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズは、日本の金融株が割安であり、投資対象として見込みがあるとしている。

同社が運用する「ジャパン・オポチュニティーズ・ファンド」では、金融株の保有比率が高まり、15%のリターンを上げている。

日本の金融業界は日本銀行の超金融緩和政策から脱却し、銀行や保険が利益を享受しており、金融株への投資がパフォーマンスを向上させている。

(ブルームバーグ): 資産運用会社のジャナス・ヘンダーソン・インベスターズは日本の金融株について、昨年1年間で着実に上昇したものの、まだ割安だとみている。投資する金融株からの配当金の受け取りも増えており、良い投資対象との認識だ。

総資産4307万ポンド(約86億円)の「ジャナス・ヘンダーソン・ジャパン・オポチュニティーズ・ファンド」を運用する井上純一氏は、グローバル企業から日本の金融株に投資対象を徐々にシフトし、金融株の保有比率は現在約18.05%まで高まった。

同ファンドでは3メガバンクの三井住友フィナンシャルグループや大手損害保険グループの東京海上ホールディングスなどに投資している。ブルームバーグが集計したデータによると、井上氏のファンドは今年15%のリターンを上げており、MSCIジャパン・インデックスの8.7%(英ポンドベース)を上回る。

日本企業の配当に関するデータにも、井上氏が金融株に強気で臨む理由の一端が垣間見える。ブルームバーグのデータによると、金融セクターからの配当は今後12カ月で9.7%成長すると予想され、TOPIXの主要11セクターの中で3番目に高い。保険株指数は今年に入り54%、銀行株指数は35%それぞれ上昇しており、TOPIXをアウトパフォームしている。

井上氏はブルームバーグのインタビューで、世界に比べ日本企業の成長は遅れていたため、以前は国内企業よりも海外企業を多く保有する傾向があったと説明。しかし、現在は国内企業、特に金融機関から良い話をたくさん聞けるようになるなど大きく変わり、「金融株に対しパンチの効いた投資を行っている」と述べた。

3月に17年ぶりの利上げに踏み切るなど日本銀行が超金融緩和政策からの脱却を目指す中、銀行や保険など日本の金融業界はその恩恵を受け始めている。金利のある世界は利ざやの拡大につながるためだ。また、政府や東京証券取引所が企業に対しコーポレートガバナンス(企業統治)や資本コストの改善を促していることで、自社株買いや配当の増加、株式の持ち合い解消が加速している。