長期金利が1%を超え「どうせ日銀は利上げをするんだろ」といった「催促相場」の雰囲気 今後もTOBは続く公算大

AI要約

国内債券市場で長期金利が上昇し、日銀の内田副総裁の発言が注目されている。

保険や銀行など金利関連株が堅調に推移し、株価ランキングの上位はM&A関連の企業が目立つ。

電力株や建設関連株も注目されており、次世代半導体や再稼働に関する情報もチェックが必要。

長期金利が1%を超え「どうせ日銀は利上げをするんだろ」といった「催促相場」の雰囲気 今後もTOBは続く公算大

【うまちゃんの財ザク!】

5月末に国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時1・1%を付けました。約13年ぶりの高水準です。日銀の内田真一副総裁の「デフレとの闘いの終幕は視野に入った」の言葉もしばらくは尾を引きそうです。

そんな状況の中、「どうせ日銀は利上げをするんだろ」といった「催促相場」(材料が出る前に材料が出ることを期待してつくられる相場)の雰囲気になっています。ここは「日本は利上げを急ぐな。米国はいずれ利下げに向かう」と言いたいですね。

とはいえ、金利の先高観が強まっていることで、前回もお伝えした保険、銀行は引き続き堅い動きです。生保は政策保有株の売却も追い風です。金利上昇による収益改善が期待される三菱UFJFG、三井住友FGやみずほFG、そして北洋銀行や西日本FHDなど地銀もシナリオどおりの強さです。

5月1カ月間の東証プライム上昇率ランキング(時価総額2000億円以上)でトップになったのは、帝人の子会社で電子コミックサービス大手「めちゃコミック」を運営するインフォコムです。米投資会社ブラックストーンが株式公開買い付け(TOB)と帝人からの株式取得を通じて同社を買収する話が判明、急騰しました。

2位のアルプス物流も米投資ファンドのKKR傘下のロジスティード(旧日立物流)がTOBを発表して急上昇。電子コミックの将来性や2024年問題を抱える流通業界の構造改革に期待したものです。昨年末に「2024年はTOBが盛んな年になる」とお伝えしましたが、今後もこの動きは続くと思われます。

ちなみに、5月の上昇率3位の北海道電力も、この連載でお伝えしたとおり、次世代半導体の国産化を目指すラピダスの北海道千歳市の新工場建設に加え、北海道を半導体産業の集積地とする構想も浮上し、安定的電力調達を見込んだもの。注目の電力株では、女川原発2号機の安全対策工事が完了して、9月ごろの再稼働を目指す東北電力にも目を向けたいところです。

あと、大成建設や鹿島、大林組など建設の一部が堅調に推移していることもつけ加えておきます。インフロニアHDも注目です。