【在職老齢年金】支給停止基準額は50万円に引き上げ!年金がいくら減額されるかシミュレーション

AI要約

厚生年金を受給しながら働くと支給停止のリスクがある

2024年から支給停止基準額が引き上げられたことで、収入と年金の合計額による影響が変わる

具体的な支給停止額の計算方法や例を通して理解を深める

【在職老齢年金】支給停止基準額は50万円に引き上げ!年金がいくら減額されるかシミュレーション

60歳以降に厚生年金を受給しながら働く場合、年金額と1ヵ月の賃金の合計額によっては年金の一部または全部の支給停止になることがあります。せっかく働いて収入を得ても、厚生年金が減額されてしまうのは残念なものですね。

2024年4月から、支給停止基準額が48万円から50万円に引き上げられました。この改正により、厚生年金を減らさずにいくらまで働けるのか、知りたい方もいることでしょう。

本記事では、在職老齢年金の概要について解説するとともに、具体的な例を用いて支給額のシミュレーションをしていきます。

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内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以降も働いている人の割合は年々増加傾向にあります。

65歳~69歳では52.0%と半数以上の方が、70~74歳では33.9%と約3人に1人が働いている状況です。75歳以上でも11.0%の方が働いていることがわかります。

また、60歳以上で仕事をしている人を対象に、「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか」というアンケートをした結果、「働けるうちはいつまでも」と回答した方が最も多く36.7%を占めています。

「65歳くらいまで」と回答した方が11.6%、「70歳くらいまで」が23.4%、「75歳くらいまで」が19.3%となっており、定年後も働く意欲を持っている方が多いことがわかるでしょう。

老後は公的年金を受給できますが、働きながら年金を受け取ることも可能です。ただし、年金支給が停止されるケースもありますので、制度をしっかり確認しておきましょう。

60歳以降も働きながら(厚生年金に加入しながら)受け取る厚生年金のことを「在職老齢年金」といい、賃金や年金額の合計額によって年金の一部や全額が支給停止になります。

2024年3月までの支給停止基準額は、賃金と年金額の合計が48万円を超えた場合でしたが、4月から50万円に引き上げられました。

●「賃金」と「年金額」とは

ここで、「賃金」と「年金額」の定義について確認しておきましょう。

「賃金」とは、正確には「総報酬月額相当額」といい、その月の標準報酬月額とその月以前1年間に受け取った賞与を12で割った合計金額のことをいいます。式で表すと以下のようになります。

[その月の標準報酬月額]+[その月以前1年間の標準賞与額の合計]÷12ヵ月(※)

※70歳以上の方の場合は、上記の「標準報酬月額」は「標準報酬月額に相当する額」に、「標準賞与額」は「標準賞与額に相当する額」となる

また、「年金額」とは、正確には「基本月額」といい、加給年金額を除いた厚生年金(報酬比例部分)の月額のことをいいます。

1ヵ月に受け取る総報酬月額相当額(賃金)と基本月額(厚生年金)の合計額が50万円を超えた場合に、年金の一部または全部の支給停止が行われます。

●在職老齢年金の計算方法

在職老齢年金の計算方法について、日本年金機構のフローチャートを元に解説していきます。

1ヵ月の総報酬月額相当額と基本月額の合計額が50万円以下であれば、厚生年金は全額支給されます。しかし、50万円を超える場合は、支給停止の対象となり厚生年金が減額されることになるのです。

減額後の厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。

支給停止後の厚生年金受給額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2

例えば、基本月額が25万円、総報酬月額相当額が35万円だった場合、支給停止後の厚生年金受給額は20万円になります。

計算)

支給停止後の厚生年金受給額=25万円-(25万円+35万円-50万円)÷2=20万円

在職老齢年金について、より具体的にイメージできるよう次章でシミュレーションしてみましょう。