〈電力供給の減少で料金値上げは必至〉決断迫られる原発再稼働も、顕著な地域差、東日本大震災の負のイメージを払拭せよ!

AI要約

2024年6月、各電力会社が電気料金値上げを実施した。政府の補助金終了によるもので、再生エネ賦課金も増加し、国民と企業に悪影響を与える。

原子力発電が電力コスト増加の歯止めとして期待されており、エネルギー価格の高騰に対処するための支援策が導入されている。

政府は資源価格の上昇に伴う物価高を抑制するための支援策を講じており、円安の進行が燃料輸入コストを押し上げている状況下での電力料金に対する影響が懸念されている。

〈電力供給の減少で料金値上げは必至〉決断迫られる原発再稼働も、顕著な地域差、東日本大震災の負のイメージを払拭せよ!

 2024年6月に入り、各電力会社は電気料金の値上げに踏み切った。この背景には、電気・ガス価格の抑制を目的とした政府の補助金が終了したことがある。

 今年4月にも、再生エネ発電の普及のために通常の電気料金に上乗せしている賦課金が引き上げられたばかりである。度重なる電力料金の値上げは、国民の生活や企業の経済活動に悪影響を及ぼす。

 こうした中、電力コスト上昇の歯止めとして、原子力発電の役割に期待が寄せられている。

 電力補助金(電気・ガス価格激変緩和対策事業)が始まった背景には、22年2月のロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰があった。西側諸国はロシアの戦費につながる資源収入を断つため、対ロシア制裁として、ロシア産化石燃料の輸入削減を図った。その結果、石油や天然ガスの短期的な需給バランスが大きく崩れ、欧州のみならずアジアの市場でも資源価格が急騰した。

 政府はエネルギー価格の高騰による物価高を考慮し、ガソリンと同じく、電気・都市ガス料金の負担緩和に向けた支援策を開始した。23年1月より、電気・都市ガスの使用量に応じて料金を値引きした小売事業者等に対し、その値引き原資を補助することで、価格抑制に努めてきた。

 その後、資源価格の上昇が一旦落ち着いたものの、円安の急激な進行が燃料輸入コストを押し上げる一因となった。液化天然ガス(LNG)や石炭といった発電用燃料の輸入額はウクライナ戦争開始前と比べても、割高である。LNGの1万トン当たりの輸入額(月次)は21年1月の4.5億円から、ウクライナ侵攻を経て、22年8月には14億円まで跳ね上がり、直近24年4月では8.9億円を記録した。

 石炭輸入額の場合も、21年1月の9000万円から22年8月に約6倍の5.3億円に増え、24年4月は2.5億円となった。政府・日銀が円安是正に向けて本腰を入れてないことから、輸入物価による発電用燃料のコスト高はこの先も続く見通しである。

 一方、これまで電力補助金には大規模予算が投入されてきた点から、無期限に延長することは困難である。電気・ガス価格激変緩和対策事業には、22年度補正予算で約3.1兆円、23年度補正予算額でも約6400億円が注ぎ込まれた。同時期、ガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)にも6.3兆円以上が費やされたことから、財政的な観点から、各種補助金の終了に向けた出口戦略が模索されてきた。