米中「経済戦争」、世界のトップリスクとレイ・ダリオ氏警戒

AI要約

米国内の対立が今年のハイライトになるとダリオ氏は指摘。民主、共和両陣営が大統領選の結果を受け入れない可能性に懸念。

ダリオ氏はトランプ政権の政策について予想し、中国への経済制裁のリスクがあることを警告。世界は大きなリスクの時代に突入していると主張。

不確実性が増す中、分散投資の重要性が高まっている。また、経済戦争が軍事戦争に先立つ可能性も指摘された。

米中「経済戦争」、世界のトップリスクとレイ・ダリオ氏警戒

(ブルームバーグ): 米ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏は5日、米国内の対立が「今年のハイライト」になるとの見通しを示した。民主、共和両陣営が米大統領選の結果を受け入れないかもしれないという懸念があるためだ。

ダリオ氏は香港でのグリニッチ経済フォーラムでのビデオスピーチで、トランプ前大統領が政権に返り咲けば、民主党政権とは大きく異なる政策を進めると予想。

ただ、中国に対する政策に関しては両党の間に幅広い合意があることを踏まえ、ダリオ氏は「世界にとって本当に恐ろしい経済制裁の大きなリスクがある」と語った。

同氏はまた、膨大な債務や先進国での前例のない内紛、大国間の衝突を背景に、世界はより大きなリスクの時代に突入していると主張。

さらに、自然災害の被害を抑えるには世界の年間GDP(国内総生産)の8%を要するとし、そのほかパンデミック(感染症の大流行)や人工知能(AI)によって推進される最大級の産業革命などをリスクとして挙げた。

その上で、こうした不確実性が、国や通貨、資産クラスを超えた効果的な分散投資を必要にするとし、「分散投資の威力は優れた意思決定の威力よりも大きい」と論じた。

歴史を振り返ると、「経済戦争は軍事戦争に先立って起こる」と述べ、台湾問題で軍事衝突が差し迫った形で起こる公算は極めて小さいとした上で、「一つの中国」政策が「永遠に続くことはない」との見方も示した。

こうした発言は、自国政府の行動によってダメージを被るかどうかを見極めたい国際的な投資家たちからの質問を招いた。

ダリオ氏は「中国に投資している米国の投資家は、自国政府から悪影響を受ける可能性がある。中国側から困難な状況に追い込まれるのではないかという懸念がある」との考えを示した。

今年初めの香港・中国本土の株式相場下落にはこうした懸念が反映されていると同氏は指摘しながらも、中国の資産は非常に魅力的な価格水準にあり、ブリッジウォーターは過去5年間、中国での運用が非常にうまくいっていると説明した。