【歯と口の健康週間】こんなマウスピース歯科矯正には要注意!学会からの注意喚起も

AI要約

歯科矯正治療は日本で年々増加しており、マウスピース型製品の誤った使用による問題が懸念されている。

マウスピース矯正は専門知識がない歯科医師によって行われることもあり、適切な診断や治療が必要。

安全性や有効性についての科学的根拠が不明瞭なため、慎重に治療を選択する必要がある。

【歯と口の健康週間】こんなマウスピース歯科矯正には要注意!学会からの注意喚起も

日本で歯科矯正治療をする人は年々増えていて、直近3年間で3.6倍に増えたという数字もあります*1。ところが、「誤ったマウスピース型製品の使用は予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があります」と公益社団法人日本矯正歯科学会が公式ステートメントを発表する事態になっています。歯科矯正は、必要な人にとってメリットの高い治療ですが、注意すべきことも。女性医療ジャーナリスト増田美加が、星歯科矯正院長 星隆夫(ほしたかお)先生に取材しました。

*1 厚生労働省「平成29年・令和2年患者調査 」歯科診療所の初診推計患者数

増田:街中で「マウスピース矯正」という看板をよく見かけますが、歯科矯正を専門に行う歯科医師の学会である「公益社団法人日本矯正歯科学会」がマウスピース型矯正装置を用いた矯正歯科治療(アライナー矯正)を行う歯科医院や業者が乱立していて、患者さんからの問い合わせが多発していると声明を発表しています。が、いわゆるマウスピース矯正は、避けたほうがいいのでしょうか?

星先生:透明なマウスピース型矯正装置によって行う矯正歯科治療(アライナー矯正=いわゆるマウスピース矯正)がすべて危険というわけではありません。けれども、矯正歯科の専門的研修を修了していない歯科医師が適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認をきちんと行わずに、マウスピース矯正を行っている現状があります。これは、予期せぬ問題を引き起こす可能性があり、危険です。治療が完了できない(治らない)、噛み合わせがずれてしまい物が噛めない、あごが曲がって痛い、歯は並んだけれど歯が前に出てきた、などなどの被害に遭う可能性があります。

また、さらに心配なのは、医療機器として認められていない“雑品”扱いのマウスピース型矯正装置を使って、歯科矯正治療を行っている歯科医院が存在することです。長期間治療を行って費用を支払っても、適切な歯科矯正の結果が得られないことも多くあります。

一度、矯正歯科治療で誤った歯の移動を行なってしまうと、それを再治療するのには、さらに長期の治療期間がかかり、治療の難易度が高くなってしまいます。

いわゆるマウスピース矯正に関する臨床的な研究は少なく、安全性、有効性に関する科学的なエビデンスは明らかになっていません。十分に注意していただきたいです。