外信コラム 在日韓国人記念館とは

AI要約

在日韓国人の歴史と貢献について紹介されたソウルの「在日韓国人記念館」。

在日韓国人が祖国への多大な寄与や成功者の存在を示す展示がある。

経済支援や新韓銀行の創設など、日韓協力史の明るい一面が紹介されている。

外信コラム 在日韓国人記念館とは

ソウル中心部の光化門広場の近くに「在日韓国人記念館」というのがある。都心には珍しい小さなレンガ造りの新韓(シンハン)銀行光化門支店ビルの5階にあって、在日韓国人が祖国・韓国の発展にいかに寄与したかという歴史が写真やパネルで紹介されている。

韓国では在日韓国人を「在日僑胞」というが、マスコミなどでその歴史や現状が語られる時は差別や貧困、苦労…といった話がほとんどでいつも日本に対する非難材料にされてきた。

実際は成功者も多く、作家や学者など文化人のほか芸能、スポーツなど各界で活躍する有名人も多く知られているのに、本国では日本を認めたくないという心理から偏ったイメージでしか伝えられてこなかった。

その祖国で無視ないし隠されてきた在日韓国人の歴史の一つが、経済を始めとする祖国への多大な寄与である。韓国経済発展の基礎になったのは日本の経済協力と在日韓国人の祖国支援という説もあるほどだ。

記念館にはソウル市内の「九老工業団地」や済州島のミカン栽培など数多くの〝在日貢献〟の物語が展示されているが、今や韓国最大級の銀行になっている新韓銀行も在日韓国人の李熙健(イ・ヒゴン)氏(大阪興銀創業者)の尽力で誕生したものだ。展示を日韓協力史の重要かつ明るい一面と見ればより興味深い。(黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ」)