海外では「弾丸」と考える半導体補助金、韓国はなぜできないのか

AI要約

韓国政府が半導体産業支援プログラムを発表、半導体専門家や業界関係者からの意見は分かれている。

政府の支援プログラムには電力・用水問題解決や中小企業支援が含まれるが、直接的な補助金を排除し、大企業への支援を避ける姿勢が表れている。

半導体産業の特性や世界的競争状況を考慮し、政府は積極的な支援が必要とされているが、大企業重視の枠組みから脱却する必要がある。

海外では「弾丸」と考える半導体補助金、韓国はなぜできないのか

21日、崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が半導体専門家と業界関係者を呼び集めた。26兆ウォン(約3兆円)規模の半導体産業総合支援プログラムを発表する2日前だった。産業界の声と専門家の指摘を政策に反映するというのが副首相の趣旨だったが、出席者の考えは違った。匿名を求めたある出席者は「すでに発表内容の根幹が決まった状況で、業界とも話し合ったという形を持たせるための会議という感じがした」と語った。

この席である業界関係者は「韓国も海外のように大企業に直接補助金を支給することが必要」という意見を提示したという。しかし崔副首相は「国民の情緒と乖離していて、国会が反対する」という2つの理由に言及しながら、直接的な補助金はいけないと断固答えたという。半導体企業支援に対する現政権の視点を如実に表している。

23日に政府が発表した半導体総合支援プログラムに対する評価は分かれる。まず電力・用水問題に悩んでいた企業はインフラ支援に2兆5000億ウォンを投資する点は歓迎している。ファブレス(半導体設計企業)、素材・部品・装備のための生態系ファンド、先端パッケージングなど研究開発(R&D)のための予算拡大も以前にはなかった進展と評価する。

しかし半導体産業支援政策を設計する接近方式が近視眼的だという指摘が出ている。各国が競争的にしている直接的な補助金を韓国政府は今回も除いたうえ、大企業支援に対する偏見を抜け出せていないということだ。尹錫悦大統領は今回の計画を発表しながら「半導体産業総合支援プログラムで70%以上は中小・中堅企業が恩恵を受けることになる」とし「一部ではあたかも弱者福祉費用を奪って大企業を支援するという主張があるが、全く違う」と話した。大企業に恩恵を与えるのではないという点を強調しながら説明したのだ。

半導体は研究開発(R&D)と施設設備に大規模な投資が必要な装置産業だ。中小企業は事業参入も競争力確保も難しい。また、素材・部品・装備関連の中小・中堅企業は半導体大企業と有機的につながっている。半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は「韓国の半導体中小・中堅企業は大企業の傘の下に集まっている」とし「生態系の構築は当然だが、大企業が崩れればこの生態系を構築する意味がなくなる」と指摘した。

こうした産業的特性のため米国や中国も「大企業に巨額の補助金」を支給して支援の効率を高めている。半導体の競争力を回復させるために切歯腐心する日本は政府が動いてラピダスという合弁企業を育てている。しかし韓国はサムスン電子・SKハイニックスが半導体競争力の核心であるにもかかわらず大企業という理由で直接支援を敬遠する。業界関係者は「海外では戦場で戦う総帥に弾丸を支給するように政府が企業に半導体補助金を与えるが、韓国では『大企業には恩恵を与えるべきでない』という認識が依然として非常に強い」と話した。

世界半導体競争が激しくなり、韓国政府も積極的に支援すべきという指摘は数年前から続いている。野党もその必要性を共感している。昨年12月、当時の洪翼杓(ホン・イクピョ)民主党院内代表が大韓商工会議所の崔泰源(チェ・テウォン)会長と非公開面談をした当時、グローバル補助金競争状況に言及しながら「2024年には政界でも努力してみる」と述べた。しかしそれ以降、政府が国会と半導体支援政策について緊密に協議したという話は聞かれなかった。総選挙で敗れた政府は野党と世論を意識しながら「大企業特恵フレーム」から抜け出せずにいる。

韓国の半導体大企業だけでなく、韓国の産業生態系全体が挑戦を受けている時期だ。世界各国が自国の産業を生かそうと補助金を注いでいる。半導体産業で重要なのは投資のタイミングだ。「時間が補助金であり、問題に対応する速度が最も重要だ」と話す尹大統領が、政府が積極的に動くべきタイミングを逃さないことを願う。