美容整形が盛んな韓国で中高年男性のアンチエイジング手術が急増 背景に老化への恐怖

AI要約

韓国でアンチエイジング手術が人気急上昇中で、男性の手術ニーズも増加している。

美容外科が集中する江南地区にある「スターライン整形外科」ではアンチエイジング手術を専門に行っており、男性の患者が急増している。

手術を受ける人々は、老いや社会への恐怖、特別なイベントに出席するため、あるいは自己満足のために手術を選ぶ傾向がある。

美容整形が盛んな韓国で中高年男性のアンチエイジング手術が急増 背景に老化への恐怖

美容整形大国の韓国ではいま、アンチエイジング(抗加齢)手術がかつてないほど人気だ。これまで手術を受けるのは女性が主だったが、最近は男性も急速に増えている。老いることへの恐怖と社会といつまでもつながっていたいという思いが、中高年の男女を美容整形手術に向かわせている。

首都ソウルの繁華街の一つ、江南地区。地下鉄狎鴎亭駅近くに美容外科が集積する一帯がある。通りに並ぶビルのほとんどに美容外科が入居する。看板をみるとクリニックには得意分野や専門があり、二重まぶた、肌たるみ、美肌など細分化されている。中には漢字の看板もあり、中国や日本からの患者を受け入れているようだ。

その一画から少し離れた、より江南の中心部に近いところに、「スターライン整形外科」はある。中に入ると街の喧騒とうって変わり、待合室には心地よい音楽が流れ、癒やされる空間だ。アンチエイジングの専門クリニックとして2022年に開業した。

李尚奐(イ・サンファン)院長(46)はほおなどのたるみをとる、フェースリフティング手術を得意とする。フェースリフティングは、靱帯(じんたい)を切って皮膚の下のほおの筋膜層のたるみをとる手術だ。

そんなスターライン外科も今年に入り、男性の患者が急に増えたという。これまでは女性がほとんだったが、年間100件ほどのフェースリフティング手術のうち、7件に1件は男性という。まぶたなどのたるみをとる手術なども含めると、3割ほどが男性を占めるという。

李院長によると、女性たちが夫を連れてくる例が多いが、最近は男性が妻を連れてきて一緒に手術を受けるような例もあるという。コロナの時はリモートワークなどで外に出る機会が減り、手術を受けやすい環境だったことから手術を受ける人が多かった。コロナが落ちついてからもコロナ期間に手術を受けた知人の姿を見て多くの患者がやってくるという。

手術を受けるのは、快活さが仕事に直接影響する政治家といった人もいる。だが、ほとんどが普通の人で、こういった職業の人が多いといった傾向もとくにないという。「娘さんの結婚を控え、両家の顔合わせの前に手術をするとか、そのようなことが動機になっています」と李院長。そんな人たちのあこがれが米国人俳優のブラッド・ピットなのだという。彼自身が手術したことは明言していないが、そうした写真が出回っていて、それが認識の変化に影響していると李院長は分析する。「リフティングはたるみをなくすだけなので、顔自身が変わるわけではありませんが」