韓国「AI公務員」時代? 労働力難の勤労監督捜査…「チャットGPT補佐官」を検討

AI要約

雇用労働部がAIを活用して未払い賃金事件の調査業務を補助するプランを明らかにした。

政府官庁全般でAIを実務に活用する動きが広がっており、試験的な取り組みも進んでいる。

しかし、AIを業務に活用するには信頼性の確認やセキュリティ上の問題が課題となっている。

「A(告発人)、B(事業者総務)、C(事業主)の陳述だけでは確定的な結論を下しにくいです。Bの取引内訳を徹底的に検討し賃金が労働者に正確に伝えられたのか確認しなければなりません」。

雇用労働部が生成型人工知能(AI)に仮想の賃金未払い事件陳述書を入力したところこうした回答が返ってきた。特定取引内訳を重点的に確認し、また陳述書に言及された特定日の通話音声データを分析して事業主が実際に賃金を返済すると明らかにしたのかなどを確認しろという助言だった。数十ページに達する陳述書の内容要約も一緒に生成された。

雇用労働部は29日、「労働の未来フォーラム」を通じてこのように全国の勤労監督官の捜査業務を補助できる独自のAIサービスを構築すると明らかにした。現在は年40万件に達する労働法違反申告事件を3000人ほどの勤労監督官が処理しなければならない構造だ。処理しなければならない事件は1人当たり100件を超える。ここにAIが単純要約だけでなく陳述内容の矛盾点を把握して追加措置に向けた助言をする役割まで実行し労働力難を解消するという計画だ。

合わせて対国民労働法相談サービスもAIを通じて提供する計画だ。数百枚に達する複雑な労働法マニュアルをひとつひとつ読む必要なく自然語で質問すれば法令、マニュアル、質疑応答、判例などを学習したAIが根拠資料とともに答弁を提供する方式だ。雇用労働部関係者は「知能情報社会振興院の超巨大AI基盤サービス開発支援事業を通じた予算と支援が確保されれば来年から本格的なサービスが可能になるだろう」と明らかにした。

◇「政府AI」始動…「低い質とセキュリティに懸念」の指摘も

このように政府官庁全般的にチャットGPTのような生成型AIを実際の業務に活用しようとする動きはますます拡大している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨年1月の業務報告で「大統領の新年辞をチャットGPTが書くようにしたところ本当に立派だった」として公職社会でAIを業務に積極的に活用するよう促してだ。

AI主務官庁である科学技術情報通信部は、昨年初めてメディア配布用報道資料の見出しをチャットGPTで作成して話題になった。部内の小サークルでは主題を提示すればAIが名詞形で終わる報告書を自動で作成する「報告先生」を開発し、生成型AI開発大会に出品することもした。企画財政部も「チャットGPTの未来と経済政策示唆点」と題する特別講演を開きAI活用案を内部的に共有することもした。

ただAIを業務全般的に活用するには依然として結果の信頼度が落ちるという声も多い。ある経済官庁事務官は「試験的にチャットGPTで報告書を作成してみたが、手を加える箇所がとても多くむしろ業務効率が落ちた。虚偽の内容も多いため資料調査用として活用するにも不足する」と話した。

セキュリティ問題も大きな障壁だ。IBK中小企業銀行経済研究所は「チャットGPTで作成した業務報告書と示唆点」と題する報告書を通じ、「敏感な内部情報、個人情報をチャットGPT上に入力する場合、これらの内容を保存・学習することになり情報流出の深刻な問題を招く」と明らかにした。入力された内容をディープラーニング方式で学習する特性上、常用されるAIサービスをそのまま業務に使うのは難しいということだ。

これに対し大統領直属デジタルプラットフォーム政府委員会は政府専用AIサービス構築を推進する一方、最近では「公共部門超巨大AI導入・活用に向けたガイドライン」を通じ関係機関と議論して政府網セキュリティ政策改善案をまとめると明らかにした。