サムスン電子労組が初めてのスト宣言…半導体危機に続きまた悪材料

AI要約

サムスン電子労働組合がストを宣言したことで労使対立が激化している。組合は労働条件改善を求めて行動を起こし、会社側との交渉が難航している。

賃金交渉や成果給支給方式をめぐる対立が深刻化しており、全面ストに発展する可能性もある。サムスン電子内外から懸念の声が挙がっている。

他のサムスン系列企業の労働組合や労使関係を巡るトラブルも表面化しており、今後の動向が注目されている。

サムスン電子労組が初めてのスト宣言…半導体危機に続きまた悪材料

サムスン電子の最大労組である全国サムスン電子労働組合がストを宣言した。1969年のサムスン電子設立後で初めてだ。最近半導体部門のトップを電撃交代し役員週休1日制を導入するなど非常経営に出たサムスン電子に「労組リスク」が大きくなっている。

組合は29日、ソウルのサムスン電子瑞草(ソチョ)社屋前で記者会見を行い、「労組を無視する使用側の態度にストを宣言する」と明らかにした。組合は最初の団体行動として2万8400人の組合員に6月7日に共同で年次有給休暇を消化するよう指針を下した。この日から瑞草社屋前で24時間バス座り込みに入る。組合側は「まだ消極的なストにみえるが、段階を踏んで全面ストまで行くかもしれない」と明らかにした。

労使は前日、今年の賃金交渉に向けた8回目の本交渉に出たが、使用側2人の交渉参加をめぐる溝から空転した。組合は先月の団体行動中に該当の2人が組合のソン・ウモク委員長を押しのけて負傷させたとして警察に告訴し職場内いじめの申告もある状態だ。

組合は賃金6.5%の引き上げを主張して会社側の5.1%の提案を拒否した。現在は賃金引き上げ率より成果給支給方式をめぐって交渉中だ。現在サムスン電子は営業利益から法人税、投資額などを除いて算出した経済的付加価値(EVA)を基準として成果給を支給しているが、組合はこれを営業利益基準にするよう主張する。これに対し会社側は事業部の特性などを反映して20年以上運営してきた成果給方式を1日で営業利益単一基準に変えるのは難しいという立場だ。

現在同組合の組合員数は全社員12万4800人の22.8%水準だ。昨年成果給を支給されなかった半導体(DS)部門を中心に加入が急増した。組合内部では先月華城(ファソン)事業所での文化争議に参加した2000人以上が年次休暇闘争に参加すると期待している。来月7日が顕忠日(6日)と週末に挟まれた金曜日で組合員の参加拡大を狙ったと分析される。

サムスン電子は現況把握と対応などに忙しい。事態が長期化したり実際に全面ストにまで続けば生産への支障が避けられない見通しだ。半導体工場は24時間稼動しなければならない特性上、スト参加人数が増えれば負担になるほかない。昨年15兆ウォンに迫る赤字を記録したDS部門は今年に入り広帯域メモリー(HBM)の出荷量を前年比3倍に増やすなど総力戦を上げている。

経営危機状況から史上初のストまで現実化すると、サムスン電子内外では懸念があふれている。最近半導体トップまで交代したが、労使対立が長期化する場合、経営刷新にも打撃が避けられない。この日サムスン電子の株価は前営業日比3.09%急落した7万5200ウォンで取引を終えた。

労組間の不和の兆しもみられる。サムスン系列5社の労働組合がまとまったサムスングループ超企業労働組合はこの日の全国サムスン電子労働組合のスト宣言に対し、「上級団体(民主労総)加入に向けた踏み台を用意しようとするものとみられ、その目的は不明だ」と指摘した。現在全国サムスン電子労働組合は韓国労総の傘下だが、この日の会見には民主労総金属労組が組合執行部とともに出てきてスローガンを叫んだりもした。これをめぐり全国サムスン電子労働組合が上級団体を民主労総に変えようとしているのではないかとの解釈が出ている。

超企業労組は前日にも「全国サムスン電子労働組合の害社行為と他労組誹謗行為を強力に糾弾する」という声明を出した。超企業労組にはサムスン電子デバイス経験(DX)労組、サムスン火災リボン労組、サムスンディスプレー開かれた労組、サムスンバイオロジックス共生労組、サムスン電機尊重支部の5つの労働組合が参加している。