英郵便局の大規模冤罪事件で被害の局長らの救済法が成立 補償金1人1億2000万円

AI要約

富士通の会計システムの欠陥が原因で起きた英国の郵便局での大規模な冤罪事件で、会計不正を行ったとして不当に起訴された郵便局長らが裁可を経て救済法案が成立した。

被告には有罪判決が取り消され、補償金が支払われるほか、残高不足を補填しなければならなかった者にも補償金が支払われることとなった。

富士通の会計システム導入後に起きた問題をめぐり、郵便局長らが冤罪で起訴され、被害者には深刻な影響が出ていた。

【ロンドン=黒瀬悦成】富士通の会計システムの欠陥が原因で起きた英国の郵便局での大規模な冤罪事件で、会計不正を行ったとして不当に起訴された郵便局長らの救済法案が24日、チャールズ国王の裁可を経て成立した。

有罪判決を受けた者は判決が取り消され、1人あたり60万ポンド(約1億2千万円)の補償金が支払われる。また、有罪判決は受けていないものの、残高不足を自腹で穴埋めすることを強いられるなどの損害を受けた局長らにも1人あたり7万5千ポンドの補償金を支払うとしている。

法案は英政府が3月に提出。スナク首相が今月22日に7月4日の総選挙実施を発表したのに伴い、下院解散前の今月23日に議会で駆け込み可決された。

冤罪事件をめぐっては、郵便会社「ポストオフィス」が富士通の会計システム「ホライゾン」を導入した直後の1999年以降、全国の郵便局で窓口の現金の額が会計システム上の残高を下回る問題が頻発。ポストオフィスは公訴権を行使して2015年までに郵便局長ら700人以上を横領や不正経理などの罪で起訴した。

裁判所はシステムの欠陥を認定したが、被害者の中には自己破産、自殺に追い込まれる人もいた。