ポーランド外相インタビュー要旨
ウクライナの成功とロシアの苦戦、和平交渉の行き詰まり、ポーランドの核配備についての声明。
トランプ前大統領の国防支出要求と中国の影響力、商機と復興事業に関する見解。
ユーロ導入への個人的意見を述べ、時間をかけて通貨の信頼性を確認すべきであるとの考え。
【ワルシャワ時事】ポーランドのシコルスキ外相のインタビュー要旨は次の通り。
一、ウクライナが黒海からロシアの勢力を大きく後退させ、穀物の海上輸出を再開したのは大きな成功だ。
一、ロシアが地上戦で主導権を取り戻したのは確かだ。しかし多大な犠牲を払っており、勝利とは言えない。戦況は全体として混沌(こんとん)としている。
一、ウクライナへの派兵は選択肢として考えていない。ロシア大統領がウクライナ侵攻は誤りだったと結論付けるまでウクライナに対する支援を続ける。
一、ロシア大統領が真剣に和平交渉を望んでいる兆候はない。事態を打開できるとすればロシア側に交渉する意志がある時だ。
一、ポーランドへの核配備は公の場で議論すべきテーマではない。核に関する計画は複雑で、機密事項だ。
一、NATO加盟国に国防支出の拡大を迫るトランプ前米大統領の独自のスタイルを擁護する。歴代米大統領の丁寧な対応はうまくいかなかった。対ロシア前線の国だけが負担をかぶらないようにするのが公平だ。
一、中国からの物資がなければロシア軍需産業は立ち行かず、中国はロシアに戦争をやめさせることができる。事態を終わらせるために取り組みを強めていないのは驚きだ。
一、ロシアが侵攻を止めれば、復興事業は大きな商機となる。ポーランドはウクライナ投資の入り口だ。日本企業と連携の余地がある。
一、ユーロ導入に個人的には賛成だ。もし2007~08年の金融危機が起きていなかったら、ポーランドは10年前に導入していただろう。今は世論の支持が広がっていない。あと数年は信頼できる通貨である証拠を示す必要がある。