「もしトラ」で関係構築急ぐ、対日の先行きにも懸念 台湾・頼清徳政権の行方(下)

AI要約

台湾の新総統、頼清徳氏が米国との協力関係を強化したい意向を示す。

米国の超党派代表団が台湾を訪れ、台米関係の重要性が強調される。

台湾は米国との関係を重視し、中国の脅威に備えている。

「もしトラ」で関係構築急ぐ、対日の先行きにも懸念 台湾・頼清徳政権の行方(下)

「安全保障や貿易、科学技術など各分野で米国と協力関係を深めたい。台米関係のさらなる発展を期待している」

20日午後、就任式を終えた直後の台湾の新総統、頼清徳氏は総統府でアーミテージ元国務副長官ら米国の超党派代表団と会談し、こう述べた。

頼氏の就任式に出席したこの代表団は、米政府によって派遣され、元高官や現役の外交官らで構成された。バイデン米大統領の「特使」の意味を持つ。台湾メディアは実際に代表団を「特使団」と表現していた。

■米との関係、何より重視

中国による統一攻勢に対し、一貫して拒否姿勢を示す頼氏は、米国との関係を何よりも重視している。

就任式の演説では、米議会が4月、台湾向け軍事支援を含む追加予算案を可決したことにあえて言及。「米国はインド太平洋地域に追加の安全保障支援を提供し、台湾海峡の平和と安定を支援することにした」と歓迎した。

米政府はこれまで、台湾を支持し、台湾海峡の平和を維持する姿勢を明確にしてきた。特にバイデン氏が過去4回、台湾有事への軍事介入を公言したことは、台湾にとって大きな心の支えとなっている。

米台関係は頼清徳時代に「さらに良くなる」と指摘する声もある。頼氏を支える副総統の蕭美琴氏は昨年秋まで、駐米代表(大使に相当)を務めていたからだ。

米国人の母親を持ち、英語が堪能な蕭氏は「バイデン政権中枢と太いパイプを持ち、複数の米政府高官といつでも電話できる関係だ」と台湾の外交関係者は証言する。

■「米は信用できない」と野党

だが懸念材料もある。11月の米大統領選で候補指名が確実な共和党のトランプ前大統領だ。トランプ氏は大統領在任中、台湾との関係を重視し、米台関係はすこぶる順調だった。

最近はしかし、トランプ氏がウクライナ支援に消極的な姿勢を示していることから、「トランプ氏が大統領になれば、いざというときに台湾を支援しないのではないか」と懸念する声が上がる。

トランプ氏は昨年7月、米メディアのインタビューで、中国が攻撃した場合に米大統領として台湾を守るかという質問に対し、「その問いに答えたら、交渉上不利な立場に追い込まれる」と述べた。その上で「とはいえ、台湾はわれわれの半導体事業の全てを奪った」と発言した。