関税引き上げで台湾威圧 化学製品狙い撃ち 中国

AI要約

中国は関税の引き上げを利用し、台湾への経済的威圧を強化している。

新総統就任前日に中国は台湾から輸入する化学製品に対する反ダンピング調査を開始し、新政権の船出に冷や水を浴びせた。

中国と台湾の立場の隔たりは大きく、歩み寄りは難しいとの見方が大勢で、中国の威圧が一段と強まる見込み。

 【北京時事】中国が関税の引き上げを使い、台湾への経済的威圧を強めている。

 「台湾独立派」と敵視する頼清徳氏が新総統に就任する前日の19日には、日本と米国、欧州連合(EU)に加え、台湾から輸入する一部化学製品に対する反ダンピング(不当廉売)調査を始めたと発表。頼新政権の船出に冷や水を浴びせた。

 「『台湾独立』の立場が堅持される場合、関連部門がさらに踏み込んだ措置を取ることを支持する」。中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の報道官は4月、台湾への圧力拡大をこう「予告」していた。同月には別の化学製品に対する反ダンピング関税の適用決定を明らかにした。

 今回新たに打ち出した調査は、自動車部品など幅広い用途で使われるポリアセタール樹脂が対象。台湾当局によると、輸出の6割が中国向けで、関税引き上げが決まった場合、影響は不可避の情勢だ。頼新政権は市場の分散を通じ、中国依存からの脱却を急ぐ構え。

 専門家の間では、中国と頼新政権の立場の隔たりは大きく、歩み寄りは難しいとの見方が大勢。中国が威圧を一段と強めるのは必至とみられる。