クアッド首脳会合、南シナ海の危険操船非難 中国念頭に共同声明、海洋安保協力強化で一致

AI要約

日米豪印4カ国のクアッド首脳会合が中国の海洋安全保障協力強化で合意

中国の南シナ海での危険行為を非難し、東・南シナ海情勢に深刻な懸念表明

海上保安当局の連携強化や災害対応など、さまざまな協力分野で合意

クアッド首脳会合、南シナ海の危険操船非難 中国念頭に共同声明、海洋安保協力強化で一致

【ウィルミントン(東部デラウェア州)=坂本一之】日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合が21日、米東部デラウェア州ウィルミントン近郊で開かれ、中国を念頭に海洋安全保障協力の強化で一致した。会合後に発表した共同声明「ウィルミントン宣言」は、名指しを避けつつ中国が南シナ海で領有権を争うフィリピンの船舶に繰り返す危険行為への非難を表明した。

共同声明では「南シナ海における威圧的かつ脅迫的な操船に対する深刻な懸念を表明し続ける」と明記。中国の海警局船がフィリピンの船舶に衝突するなど緊張を高めていることから「危険操船の増加を含め、海上保安機関や海上民兵の船舶の危険な使用」を非難した。

また、中国が台湾の周辺で軍事圧力を強めていることも踏まえ、東・南シナ海情勢に対する「深刻な懸念」を強調。岸田文雄首相は会合で「東・南シナ海における力や威圧による一方的な現状変更の試みへの強い反対」を表明した。

4カ国首脳は海上保安当局の連携強化でも合意。米沿岸警備隊の巡視船に日豪印の海上保安官らが同乗し協力を深める。インド太平洋地域の友好国が違法操業などに対処できるよう支援する地域枠組みも立ち上げる。災害対応では支援物資の迅速な輸送に向け、米豪印各軍と自衛隊で輸送協力を図る。

バイデン米大統領は会合で、クアッドなどにおける岸田首相の取り組みへの謝意を表明。クアッドに先立つ日米首脳会談で両首脳は日米同盟の強化で一致した。先進7カ国(G7)やクアッド、日米韓などの多国間協力を推進し、日米が「国際秩序の中核を担うグローバル・パートナー」であることも確認した。