ゾウ、ヌー、カバまで… 史上最悪の飢饉によって、アフリカ南部で大量の野生動物が食肉に
アフリカ南部のジンバブエでは深刻な飢饉によりゾウを200頭殺処分し、食肉として市民に配布する方針が政府から出された。
干ばつの原因は長期化するエルニーニョ現象であり、アフリカ南部全域に影響を与えている。地域全体で6800万人が食糧不足に直面している。
食料不足の解消のため、ゾウだけでなく他の野生動物も食肉として供給されるナミビアなど、他のアフリカ南部の国々も同様の措置を取っている。
深刻な飢饉に見舞われるアフリカ南部のジンバブエで、ゾウを200頭殺処分し、食肉として市民に配る方針を政府が明らかにした。
ジンバブエは、過去40年間で最悪の干ばつに苦しんでいる。干ばつの原因はエルニーニョ現象だ。アフリカ南部全域に壊滅的なダメージを及ぼしていて、不作により、地域全体で6800万人が食糧不足に直面しているという。
アフリカ南部は世界最大級のゾウの生息地だ。インド紙「タイムズ・オブ・インディア」によれば、ジンバブエ、ザンビア、ボツワナ、アンゴラ、ナミビアに20万頭以上の象が生息している。
食肉を得るために200頭のゾウの殺処分を決めたジンバブエには現在、8万4000頭のゾウがいる。これは同国の国立公園が保護できる頭数を大きく上回る頭数で、昨年、ゾウに遭遇して命を落とした一般市民が50人にものぼった。
またタイムズ・オブ・インディアによると「自然保護活動で知られるジンバブエは、推定6億ドル相当の売れない象牙の備蓄を抱えている」そうだ。このことから、ワシントン条約による象牙、そして生きたゾウの売買の禁止を解除するよう求めている。
危機的な状況を脱するためにゾウを食べることを決めたのは、ジンバブエだけではない。同じくアフリカ南部で、140万人もの国民が飢饉に陥っているナミビアも8月、ゾウ83頭を含む野生動物723頭を食肉にすることを発表している。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」に対し、世界自然保護基金のナミビア支局長ジュリアン・ザイドラーは「人間の食料も、動物の食料もない」と語った。
原因はやはりエルニーニョ現象だ。世界各地で気温が上昇し、乾燥するなか、ナミビアでも干ばつによって作物が枯れて家畜が死んでいる。
人々の飢えを癒すため、同国はゾウに加えてシマウマ300頭、カバ30頭、インパラ50頭、バッファロー60頭、ヌー100頭、イランド100頭も、食肉として国民に供給する予定だ。