ホットドッグ早食い、なぜ熱狂?◇米ネトフリが一役、最も有名な日本人“引退”

AI要約

米国で「ホットドッグ早食い王」として人気の小林尊さん(46)が、長年のライバルとのホットドッグ早食い対決に破れ引退を表明した。最終決戦は9月2日(日本時間3日早朝)、米ネバダ州ラスベガスで行われ、米動画配信大手ネットフリックスが世界でライブ配信。小林さんとライバルの因縁対決にもスポットライトを当て、早食い競争を巡る二人の“物語”として番組を製作・配信し、ファンを熱狂させた。(時事通信シリコンバレー・石田恵吾)

小林さんは2001年、米ニューヨークで毎年、独立記念日の7月4日に開かれる「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」に初めて出場。当時、この早食い選手権記録の2倍に当たる50本を12分で平らげ、会場の度肝を抜いた。以来06年まで6連覇し、この競技をスポーツに昇華させたと言われている。小林さんは一躍人気者となり、米国の国民的アニメ「シンプソンズ」にもキャラクターとして出演している。

両者とも自己ベスト更新し、直接対決は15年ぶり。最終的にチェスナットさんが83対66で勝利し、小林さんは引退したが、両者がトップの座にあり続けることを示した。

ホットドッグ早食い、なぜ熱狂?◇米ネトフリが一役、最も有名な日本人“引退”

 米国で「ホットドッグ早食い王」として人気の小林尊さん(46)が、長年のライバルとのホットドッグ早食い対決に破れ引退を表明した。最終決戦は9月2日(日本時間3日早朝)、米ネバダ州ラスベガスで行われ、米動画配信大手ネットフリックスが世界でライブ配信。小林さんとライバルの因縁対決にもスポットライトを当て、早食い競争を巡る二人の“物語”として番組を製作・配信し、ファンを熱狂させた。(時事通信シリコンバレー・石田恵吾)

◆早食いをスポーツにした日本人

 「コバヤシがここでコンテストをやるのかい?明日は休みだから見てみるよ」。対決前日の9月1日夕、配車サービスを利用した際に男性運転手に対決を伝えると、うれしそうに語った。大リーグ、ヒューストン・アストロズに所属する菊池雄星投手もX(旧ツイッター)上で指摘したように、小林さんは米国で最も知られた日本人の一人だ。

 小林さんは2001年、米ニューヨークで毎年、独立記念日の7月4日に開かれる「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」に初めて出場。当時、この早食い選手権記録の2倍に当たる50本を12分で平らげ、会場の度肝を抜いた。以来06年まで6連覇し、この競技をスポーツに昇華させたと言われている。小林さんは一躍人気者となり、米国の国民的アニメ「シンプソンズ」にもキャラクターとして出演している。

◆「ツナミ」と「ジョーズ」の戦い

 その小林さんの7連覇を阻んだのが今回の対戦相手、ジョーイ・チェスナットさん(46)だ。05年に参戦し、07年で小林さんを下すと、23年までに実に16回の優勝を果たした。制限時間が10分に短縮された後も記録を伸ばし、今回の対決前の自己ベストは76個だった。小林さんは「ツナミ」、チェスナットさんは「ジョーズ(あご)」の異名をとる。長らく早食い、大食いの舞台に君臨した両者の直接対決は、09年以来15年ぶり。イベントは否が応にも盛り上がった。

 2日正午のネトフリのライブ配信前、ホテル内の会場は両陣営のTシャツを着た人々で埋まった。「(小林さんの愛称)コービ」、「ジョーイ」のコールが入り乱れる。会場は頂上決戦にふさわしい熱量で満たされ、屋外の観戦場所も計1000人のファンで埋まった。

◆両者とも自己ベスト更新

 配信開始から50分、小林さん、チェスナットさんがそれぞれステージに上がった。小林さんは、前日まで伸ばしていた髪をばっさり切り、黒いガウンに身を包んで登場。出で立ちと表情に意気込みがあふれていた。小林さんは前日の記者会見で「これが最後の大会」と強調。従来の緻密な戦略を捨て、「気持ちで獲(と)る」と語った。

 「レッツゴー!」。審判の掛け声で競技が始まる。両者はテーブルに山積みにされたホットドッグを次々に口へ運ぶ。序盤からチェスナットさんが1個程度のリードを保つ。リズムに乗ったチェスナットさんは、中盤から終盤にかけてその差を広げる。自己ベスト更新が見えてくると、会場からは「行けるだろ」「やってやれ」とチェスナットさんを後押しする声援が勢いを増した。

 小林さんも必死に追いすがる。が、一度開いた差は埋まらない。制限時間10分。結果は、83対66でチェスナットさん。差は開いたとはいえ、両者ともに自己ベストを更新し、両者が今もこの業界のトップにいることを示した。