海水が川を逆流 「海嘯」の波に観光客が飲み込まれる /中国・浙江省

AI要約

中国・浙江省の銭塘江で起きた海嘯事故の動画がネット上で拡散され、観光客が波に押し流される危険な状況が映し出された。

事故による死傷者数は不明だが、浙江省では定期的に海嘯が発生し、観光客が川岸でその危険を目にすることがある。

2013年にも同様の事故が起き、30人以上が負傷している。被害を最小限に抑えるためには十分な警戒が必要だ。

海水が川を逆流 「海嘯」の波に観光客が飲み込まれる /中国・浙江省

 海水が川を逆流して激しい波が起きる「海嘯(かいしょう、潮津波)」で有名な中国・浙江省の銭塘江で、川の土手を越えて勢いよく押し寄せる波に大勢の観光客が流されて転倒し、その危険な場面を収めた動画がネット上で拡散された。

 X(旧ツイッター)には8日(現地時間)、「数日前に中国の銭塘江で危険な状況で自撮りをしていた人々の動画」という内容の投稿がアップされた。動画は今月4日に撮影されたようで、浙江省海寧市を流れる銭塘江のほとりで海嘯の写真を撮ろうとしていた観光客らが、突然押し寄せた激しい水流に巻き込まれて転倒する様子が映っている。

 この事故による死傷者数は明らかになっていない。動画が事実かどうかかは確認されていないが、同じ場面を別の角度から撮影した2種類の動画が拡散されているという。

 動画を見ると、石が積み上げられた川岸に数十人が集まり、スマートフォンを持って立っている。波が押し寄せてきたため人々は急いで向きを変えて逃げようとしたが、間に合わず、川岸に立っていた人のほとんどが水に押し流されるように倒れている。川に最も近い所に立っていた観光客は、波が押し寄せているのに逃げずに立ちつくし、そのまま倒れてしまった。また、倒れたものの何とか立ち上がってそばで倒れていた子どもを起こしている人もいる。水流が非常に激しく、さらに押し流されていく人々もいた。

 台湾メディア「東森新聞」は「見ていた人々は驚いて悲鳴を上げ、2人の父親は必死で子どもたちを守った。波が引いた後、母親は娘がいなくなっていることに気付いた」「何とか逃れた人もいたが、行方不明になった人もいると関係者が説明している」と報じた。

 銭塘江は中国・浙江省で最も大きな川で、毎年7月から10月初めにかけて潮の満ち引きによって海嘯(月の引力によって海水面が持ち上がり、川の内陸側に押し寄せる現象)が発生する。川の流れとぶつかる際の波の高さは10メートルで、1秒に12メートルの速さで移動するという。現地の人々はこれを「幽霊波」と呼び、毎年この光景を見るために川沿いに人が集まるが、観光客が波に飲み込まれる事故も絶えず起きている。

 BBCによると、2013年にも銭塘江で同じような事故が発生し、少なくとも30人が負傷した。

 動画には「波が押し寄せたら逃げるべきなのに命懸けで写真を撮っている」「ここは安全だろうと思っていても、事故は一瞬にして起きる」「遠くから拡大して撮ればいいのに、わざわざ危険を冒して何やってるんだか」「大人に連れてこられた子どもたちは何の罪もないのに」「水の流れを甘く見てはならない。流れが弱くても巻き込まれて転ぶことが多い」「フェイク動画じゃないの? とても信じられない」などの反応が相次いだ。

イ・ヘジン記者