BLACKPINK、TWICE、NewJeansだけではない 韓国ディープフェイク性被害は中学生や女性兵士にまで

AI要約

韓国社会でディープフェイクが問題になっており、特に女性が性的な動画と合成されたフェイク動画が拡散されている。

著名K-POPアイドルから一般の女性まで被害者がおり、事務所は法的措置を取る姿勢を示している。

ソウル大学出身者による大規模なディープフェイク事件もあり、48人の女性が被害に遭っていた。

BLACKPINK、TWICE、NewJeansだけではない 韓国ディープフェイク性被害は中学生や女性兵士にまで

韓国社会で最近大きな問題になっているのが、AIによるディープラーニングで生成されたフェイク動画、いわゆる「ディープフェイク」だ。AIを利用したフェイク動画は、2020年の米大統領選挙や、ロシアによるウクライナ侵攻などで世界中の人びとが目にするようになったが、今、韓国で問題になっているのは、女性の顔を性的な動画と合成したものが、秘匿性の高いSNSテレグラムを経由して拡散していることだ。

米国サイバーセキュリティ業者であるセキュリティヒーローが最近発表した「2023ディープフェイクの現状」と題された報告書によると、2023年ディープフェイクの性的コンテンツを掲載する10サイトの映像9万5820件を分析した結果、全世界に配布されているディープフェイクわいせつ画像で合成された人物の実に53%が韓国人だったという。

こうしたディープフェイクの被害者の中にはBLACKPINK、TWICE、、NewJeansといった人気K-POPアイドルから、ごく一般の学生、女性軍人、教師、さらには中学生といった未成年者まで含まれいた。しかもこうした一般の被害者は、身の回りの男性が加害者だった事例が多く、多くの女性たちはいつ自分が被害にあうかもしれないと不安に駆られている。韓国メディア聯合ニュース、KBS、MBC、時事ジャーナルなどが報じている。

8月末から9月にかけて、韓国の音楽芸能事務所はディープフェイク問題への対策を発表した。先頭に立ったのはTWICE、ITZY、NMIXXなどが所属するJYPエンターテインメント。8月30日にファンコミュニティを通じて「最近当社アーティストを対象にしたディープフェイク映像物が拡散している状況に対して非常に深刻に受け止めている」として「これは明白な不法行為であり、現在関連資料を全て収集しているところで、専門法律事務所と共に強力な法的対応を進行中だ」と発表した。

これに続くかのようにBLACKPINKの所属事務所YGエンターテインメントも9月2日にディープフェイク問題への対応として「当社はアーティストの人格と名誉に深刻な危害を及ぼすすべての不法行為に対して持続的に強硬で厳正に対応する予定」と法的対応を発表した。さらに3日には(G)I-DLEの所属事務所キューブエンターテインメントも「ディープフェイクに対して持続的なモニタリングと共に資料を収集中だ」として「ディープフェイク制作者および配布者には容赦なく強力な法的措置を取る予定」と明らかにした。また、これらに先だってNewJeansの所属事務所ADORも6月、「アーティストの肖像を合成したフェイク画像を流布·販売するなど、とうてい容認できない行為をした者に対して警察で捜査が進行しており、その中の一部は1審判決で刑事罰が決定されたことを確認した」と警告していた。

<ディープフェイク問題、発端はソウル大学から>

もちろん、K-POPアイドルなどの著名人だけが標的になっているわけではない。一般の女性について被害が大きく報道されたのは被害者・加害者友にソウル大学の出身者という「ソウル大学虚偽わいせつ物製作流布事件」と呼ばれる事件だ。

この事件は、2020年にわいせつ動画をSNSで共有して韓国を震撼させた「n番部屋事件」に関して調査報道を行った女性ジャーナリスト、ウォン・ウンジ氏が潜入取材をして明るみになった。ウォン氏は「美貌のソウル大出身の妻と結婚した30代男性」という設定のアカウントでテレグラムに潜入。2022年7月から2024年4月まで加害者のパク(40)とコミュニケーションを続けて信頼関係を築いたという。パクはウォン氏の語る仮想妻に執着し「私が妻を強姦しても大丈夫か」と尋ね、さらに「下着姿の写真を送ってほしい」「実際の下着をくれ」とまで要求した。これに対してウォン氏は「本当に譲ってやる」と約束してパクを誘い出し、地下鉄2号線のソウル大入口駅近くに現れたパクが下着の入った紙袋を持ち出したところで警察が逮捕したという。

その後の警察の調べで、逮捕されたパクはソウル大の後輩女子学生を含め、48人の女性を相手に計1852件の合成写真や映像を制作しテレグラムに投稿したことが分かった。彼は、ソウル大学に10年以上通い、被害者たちと知り合った後、カカオトークのプロフィール写真などで合成わいせつ物を制作。投稿したディープフェイクの中には、未成年者のものも含まれていることが明らかになった。パクがテレグラムのチャットルームに投稿した映像は100件に達し、映像の大部分はソウル大学の同窓である共犯のカン(31)が制作したという。カンは犯行当時、ソウル大学の大学院生で、約28人の女性を対象に卒業写真やSNS写真を裸の写真などに合成したディープフェイクを制作し、パクに提供していた。