韓国有名歌手も被害…ディープフェイクの標的、10人中8人が芸能人

AI要約

芸能人を標的としたディープフェイク映像物に対する被害事例が増加しており、所属事務所が厳しい対応を示す中、韓国の芸能人が特に被害を受けていることが明らかになっている。

ディープフェイクポルノウェブサイトの数が急増し、韓国の歌手がその被害者の大部分を占めていることが報告されている。

韓国政府はディープフェイク性犯罪対策を強化するための措置を検討しており、警戒が必要とされている。

韓国有名歌手も被害…ディープフェイクの標的、10人中8人が芸能人

一般人を対象にしたディープフェイク性犯罪被害が社会的問題となっている中で、名前と顔が広く知られているアイドル歌手など芸能人を標的としたディープフェイク映像物に対する被害事例も次々と明るみになっている。ポルノサイトなどで大量に流布したデジタル性犯罪物に対して芸能人と所属事務所が厳重な対応を予告した。

ガールズグループTWICE(トゥワイス)の所属事務所JYPエンターテインメントは「アーティストを対象にしたディープフェイク映像物が拡散する状況を非常に深刻に受け止めている」とし「明白な不法行為関連資料をすべて収集して専門法務法人と共に善処のない強力な法的対応を進行中」と1日、明らかにした。歌手クォン・ウンビの所属事務所WOOLLIMエンターテインメントも先月5日、「クォン・ウンビの肖像を合成して虚構わいせつ性写真を流布する行為をした者の犯罪行為に対して1次告訴状を提出して警察が捜査している」とコメントを出した。

実際、写真・映像がメディアなどを通じて露出する芸能人はディープフェイク映像物の被害対象になりやすい。米国サイバーセキュリティー企業「セキュリティヒーロー(Securityhero)」によると、昨年7~8月上位10位ディープフェイクポルノグラフィーウェブサイトとユーチューブ(YouTube)、ヴィメオ(vimeo)、デイリーモーション(Dailymotion)など85種類のディープフェイクチャンネルに掲示された動画は9万5820件で、このうちディープフェイク動画被害者の国籍は韓国が53%で最も高かった。韓国被害者上位10人中1~7位、9位など8人が韓国人歌手であることが分かった。

報告書では全体ディープフェイクポルノが2022年3725件にすぎなかったが、2023年2万1019件で4.6倍増え、ディープフェイクポルノサイトに10件中9件の割合で掲示されたともしている。セキュリティヒーローは「韓国が最も多くディープフェイクポルノの標的になった国家」とし「調査対象のディープフェイク映像物のうち94%がエンターテインメント産業から出た」と明らかにした。

現行法上、ディープフェイク映像物は編集・頒布する場合に限って処罰することができる。性的暴行処罰法には、単に所持、視聴するだけの場合、処罰する根拠条項がないためだ。編集・頒布した者に対する罰則規定も5年以下の懲役または5000万ウォン(約545万円)以下の罰金で、他の性搾取物製作・頒布より軽い。児童・青少年の性保護に関する法律(青少年性保護法)上、性搾取物の製作・配布など法定刑は無期または5年以上の懲役で、所持あるいは視聴するだけで1年以上の有期懲役に処する。

問題はディープフェイク映像物の場合、被害者が犯罪事実を識別するまでに相当な時間がかかり、この合間を利用して証拠を隠滅するため処罰が難しいという点だ。京畿(キョンギ)南部警察庁所属の一線警察署のある女性青少年課長は「直ちに身辺を確保した被疑者でない場合、証拠を隠滅したまま否認すれば送検するのが難しい」とし「政界の処罰強化、予防策用意が切実だ」と話した。

このような状況のため、韓国政府は先月30日、「ディープフェイク性犯罪対応汎政府対策会議」を開催して「虚偽映像物所持・購入・視聴行為を処罰する規定新設、偽装捜査拡大方案などを検討する」と明らかにした。ビョン・ジンファン弁護士は「ディープフェイク性犯罪が不法撮影、性搾取物製作など他の性犯罪に発展する可能性があるので所持、視聴する場合まで処罰条項を新設し、製作配布罰則を強化して警戒心を高めなければならない」と述べた。

一方、国会行政安全委員会幹事の趙恩禧(チョ・ウンヒ)議員(国民の力)は3日、ディープフェイクデジタル性犯罪予防と対応策用意のための政策討論会を開き、4日に女性家族委員会はディープフェイク性犯罪対応現況点検のための緊急懸案質疑を行う計画だ。