税金で返さなければならない「赤字性債務」3年後に1000兆ウォン超える=韓国

AI要約

国の債務が急速に増加し、赤字性債務が3年後に1000兆ウォンを超える見通しであることが懸念されている。

政府は減税政策を通じて税収基盤を拡充し、中長期的に負債を減らす考えだが、専門家からはその論理に疑問の声が上がっている。

国の債務総規模は増加傾向が続き、2029年には1512兆ウォンに達する見通しであり、国の債務比率も上昇すると予測されている。

国の債務のうち国民の税金で返済しなければならない赤字性債務が3年後に1000兆ウォン(約107兆円)を超える見通しだ。

韓国企画財政部が4日に国会に提出した「2024~2028年国家財政運用計画」によると、来年の赤字性債務は883兆4000億ウォンで今年の見通し802兆ウォンより10.1%増えると予想される。その後2026年に955兆ウォン、2027年に1024兆2000億ウォン、2028年に1092兆7000億ウォンを記録するというのが企画財政部の予測だ。赤字性債務は2015年に330兆8000億ウォンで300兆ウォンを超えてから増加が続いている。コロナ禍が本格化した2020年から2022年までは増加傾向がさらに急になった。

国の借金は国の債務(D1)、一般政府負債(D2)、公共部門負債(D3)の3つの基準で定義できる。このうち最も狭い範囲である国の債務は中央政府と地方政府が運用する各種会計と基金の債務を意味する。簡単に言えば政府が直接借りたお金だ。

国の債務は赤字性債務と金融性債務に分かれる。赤字性債務は悪性だ。対応する資産がなかったり不足したりし国民の税金で返さなければならない債務だ。一般会計赤字を埋め合わせるために発行する国債が代表的だ。これに対し金融性債務は対応資産があり追加の財源がなくても償還できる。

国の債務で赤字性債務が占める割合は今後も増加傾向を示す見通しだ。今年の67.1%から2026年に70.5%で70%を超えた後、2028年には72.3%まで上がるものとみられる。ますます国債務の質が悪化するという話だ。

政府が来年の一般会計赤字を補填するために発行する国債規模は86兆7000億ウォンで、昨年国会に提出された「2023~2027年国家財政運用計画」での金額64兆6000億ウォンより大きく膨らんだ。今年の大規模税収欠損により来年の歳入予算を低くした結果とみられる。今年の税収欠損規模は32兆ウォンに達するものと企画財政部は推定する。昨年は過去最大となる56兆ウォンほどに達した。今後国債発行にともなう利子支出も増える見通しだ。来年の公共資金管理基金国債利子は25兆5000億ウォンで今年の22兆3000億ウォンより14.0%増加すると分析された。その後着実に増え2028年に32兆7000億ウォンに達する見通しだ。

グローバルエコノミック研究所のキム・デホ所長は、「少子化にともなう高齢化により税金収入が減り福祉支出などは増えるため」と診断した。与党からは「文在寅(ムン・ジェイン)政権が放漫に財政支出を増やしたため」という主張も出ている。

韓国政府は財政支出を構造調整して不必要に漏れていく支出をなくし、減税政策を通じて景気を浮揚すれば中長期的に税収基盤が拡充され負債も減らせるという考えだ。しかし漢陽大学経営学部のハ・ジュンギョン教授は「減税政策を通じて税収基盤を拡充できるという論理は学界でまだ十分に証明されていない。一部減税政策を撤回したり税金を引き上げたりする方式で税収を拡充するのが良さそうだ」と話した。

赤字性債務に金融性債務を合わせた国の債務総規模は今年の1195兆1000億ウォンから来年は1277兆ウォンに増加する見通しだ。その後増え続け2029年に1512兆ウォンに達すると予想される。名目国内総生産(GDP)比の国の債務比率は今年の47.4%から2028年には50.5%に上がると企画財政部は予想した。文政権当時と比較すると現政権になって国の債務増加傾向は緩和されてはいる。国の債務は2017年の660兆2000億ウォンから2022年には1075兆7000億ウォンと60%以上増加した。