故マケイン氏の息子、トランプ氏のアーリントン墓地訪問を非難 選挙活動利用は「違反行為」

AI要約

トランプ前大統領がアーリントン墓地で選挙イベントを開催したことについて、故ジョン・マケイン上院議員の息子であるジミー・マケイン中尉が違反行為と指摘。

ジミー氏は、アーリントン墓地での行動についてトランプ氏を初めて公に批判し、民主党のハリス副大統領を支持する考えを明かす。

ジミー氏は、自らの意見を述べた一方で、米陸軍の見解ではないことを強調。トランプ氏のアーリントン墓地での行動は敬意を欠いていると指摘。

故マケイン氏の息子、トランプ氏のアーリントン墓地訪問を非難 選挙活動利用は「違反行為」

(CNN) トランプ前米大統領が先週アーリントン国立墓地で選挙イベントを開催したことについて、共和党重鎮だった故ジョン・マケイン上院議員の息子、ジミー・マケイン中尉は「違反行為」との認識を示した。

ジミー氏は故マケイン上院議員の一番下の息子で、共和党からは既に距離を置いていた。今週CNNの単独インタビューに応じたジミー氏は、数週間前に有権者登録を民主党に変更したばかりであり、11月の大統領選では民主党のハリス副大統領に投票する予定だと語った。

ただ、祖父や曽祖父を含む数世代のマケイン一族が埋葬されている神聖な墓地での行動を踏まえ、トランプ氏について初めて公に言及することにしたという。

17年間従軍しているジミー氏はCNNに対し、「あぜんとしている」とコメント。「あの地に眠っている男女には(政治活動の背景として使われるかどうか)選択する余地がない」と指摘した。

「軍服を着て多くの時間を過ごした人なら誰でも、自分たちうんぬんの問題ではないことを本質的に理解している。重要なのは、国のために究極の犠牲を払ったこうした人々だ」(ジミー氏)

今回声を上げることにしたジミー氏の決断は、共和党や一家の名高い保守主義のルーツから距離を置く姿勢の一環といえる。無党派として登録する時期が何年も続いた後、ジミー氏は数週間前に民主党員として有権者登録した。ハリス氏に投票する予定で、ハリス陣営を支援するため「可能なあらゆる方法で関与する」考えだという。

共和党の大統領候補にも選ばれたマケイン氏の息子であるジミー氏にとって、今回の発言は重要な動きとなる。マケイン一家の他のメンバー(2020年当時大統領候補だったバイデン氏を支持した母親のシンディー氏や姉妹のメーガン氏を含む)もトランプ氏から距離を置いているが、共和党を公然と捨てたのはジミー氏のみだ。

メーガン氏はトランプ氏を厳しく批判しているものの、先週、ハリス氏を支持する気はないと示唆。「私は一生涯、一世代を通じて保守主義者であり続ける」とツイートした。

17歳で海兵隊に入隊したジミー氏はいま、第158歩兵連隊で情報将校を務める。これまでは政治論争に加わるのは意図的に避けていた。ベトナム戦争で捕虜となった父を「戦争の英雄ではない」と批判し、「負け犬」と評したとされるトランプ氏の発言に深く傷ついたが、政治的に禁じ手ではなかったとの見方を示した。

「ジョン・マケイン氏について一つ言えるのは、彼は公人としての人生を選んだという点だ」とジミー氏。「従って、彼を攻撃するのは彼の職務内容から外れた行為ではない」との認識を示した。

だがジミー氏によれば、アーリントン墓地でのエピソードやトランプ陣営の対応は、死者への敬意の欠如を全く新たなレベルに引き上げた。その根本には、従軍しなかったことへのトランプ氏自身の不安があるとの見方を示す。

ジミー氏は自分の発言は個人の見解を述べたものであり、米陸軍の見解ではないと強調した。ジミー氏は22年に将校任命辞令を受け、米陸軍の情報将校に任官された。

ジミー氏がアーリントン墓地でのエピソードにとりわけ怒りを覚えたのは、ヨルダン・シリア国境にある小規模米軍基地への7カ月の派遣から帰国したタイミングで起きたためだという。

ジミー氏の帰国に先立ち、米軍要員3人がイランの支援を受けた戦闘員によるドローン(無人機)攻撃で死亡していた。トランプ氏が墓石の前でポーズを取ったとき、脳裏に浮かんだのは彼らのことだった。

「あれは違反行為だった」とマケイン氏は語り、「あの母親や姉妹、遺族なら分かる。つらい経験だ」と語った。

トランプ氏は先月26日、アフガニスタン首都カブールの空港で2021年に死亡した米軍要員13人に花を手向けた後、アーリントン墓地を訪問した。トランプ陣営は訪問の様子を動画に撮影。近年死亡した人々が埋葬されている一帯での撮影を阻止しようとした墓地の職員ともみ合いになった。陸軍によると、こうした場所での撮影は連邦法や軍の規則、国防総省の規則の違反に当たる。