過去2回の米大統領選で予想的中のマイケル・ムーア監督「今回の選挙は、ここ最近で最も楽観視している」

AI要約

マイケル・ムーア監督が近年の米大統領選挙について語った。彼はトランプ大統領の勝利を予測し、現在の選挙を楽観視している。

民主党はカマラ・ハリスを最有力として推し進めているが、敗北の影を恐れるトランプ陣営が広がっている。選挙戦は厳しいものになる可能性がある。

ムーアはバイデンのイスラエル支援などを問題視し、ハリス陣営が空中分解する可能性に言及している。しかし、現時点ではその兆候は見られない。

過去2回の米大統領選で予想的中のマイケル・ムーア監督「今回の選挙は、ここ最近で最も楽観視している」

『ボーリング・フォー・コロンバイン』や『華氏911』などのドキュメンタリー映画で知られるマイケル・ムーア監督は、2016年の選挙前にトランプ大統領の誕生を予想するなど、近年は米大統領選のご意見番的存在になりつつある。11月に迫る今回の選挙について、英紙「ガーディアン」がインタビューした。

民主党は、再出馬に意欲を燃やすジョー・バイデンを前にして、選挙での大敗を危ぶんでいた。バイデンが身を引き、カマラ・ハリス副大統領が最有力候補となったいま、突如として、敗北の見込みを見据えているのはドナルド・トランプのほうだ、という雰囲気になっている(註:ハリスは8月22日に民主党の指名を正式に受諾)。

リベラルな映画監督で、民主党支持発言の多いマイケル・ムーアは、8年前にトランプが初の大統領選への出馬を表明をするためにトランプ・タワーのエスカレーターに乗って以来、いまが最も楽観視していると話す。

「今回はシュガー・ハイとか、回復途上の薬物依存症患者が言うピンク雲とか、そういう単なる一時的興奮状態なんかじゃない。もう何週間も、ずっと重苦しさが続いていて、それが一気にぱっと変わった。いまは希望を持っているけど、我々がしくじらなければ、の話だ。でも、しくじった歴史はあるからね」

70歳のムーアは近年、選挙のご意見番的存在になっている。彼は2016年のトランプ勝利を予測した。ひとつには、民主党が醸し出していた政治的・文化的優越感があったし、MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)支持者たちを鼓舞させるのを恐れる選挙戦になるとわかっていたからだ。またムーアは、2022年の中間選挙では民主党はその傾向に逆らって復活するだろう、とも予測した。

今回の選挙に関して、彼はある程度、世論調査の第一人者たるネイト・シルバーの見方と一致している。シルバーは先日、「ハリスの選挙戦略は、2016年のヒラリー、2020年のハリスの予備選と2024年のバイデンを三角測量し、その正反対をやるべきだ」と発言した。

だがムーアは言う。特にハリスが、バイデンの不人気な「バイデノミクス」の汚名を着せられたり、ガザにおけるイスラエルの戦争に対するバイデンの声高な支持に責任があるとされたりして、ハリス-ウォルズ陣営が空中分解してしまうかも、と民主党がびくびくしているのも自分には理解できる、と。もっとも、いまのところはそんな兆候はあらわれていない。

「バイデンは残念ながら、ガザの戦争に資金提供し、ネタニヤフに武器供与したと記憶されることになるだろう。しかもイスラエル防衛用の武器ではなく、パレスチナ市民を殺害するための特別資金を供与した、とね」とムーアは言う。

2023年9月にネタニヤフとの面会を断ったバイデンが、10月7日のハマスによる越境攻撃後にテルアビブに飛び、ネタニヤフとハグしたことについて、ムーアは「悲しくなったし、驚いた」うえ、いまもその気持ちが拭えないでいる。

「ハグが何だっていうんだ、という意見もあるだろう。ならば紳士淑女の皆さんに、(ナチス・ドイツへの宥和政策で知られる)ネヴィル・チェンバレンをご紹介したいね。勇気を示す必要があるときにその反対のことをする例は、歴史上たやすく見つかるよ」