スイスの超富裕層課税案は「極めて危険」=プライベートバンク幹部

AI要約

スイスの主要政党の青年部が提唱する超富裕層への新税導入案について、プライベートバンク企業のマネジングパートナーが警鐘を鳴らす。

左派団体が5000万スイスフランを超える相続・贈与に50%課税を提案し、国民投票が実施される見通し。

提案には気候変動対策の負担増が狙いとあるが、スイス政府は反対姿勢。

スイスの超富裕層課税案は「極めて危険」=プライベートバンク幹部

[チューリヒ 28日 ロイター] - スイス主要政党の青年部が提言している超富裕層を対象とした税金の導入について、プライベートバンク企業ロンバー・オディエのマネジングパートナー、フレデリック・ロシャ氏は28日チューリヒで記者団に対し、スイスにとって「極めて危険だ」と訴えた。

左派、社会民主党の青年部「若き社会主義者(JUSO)」は、5000万スイスフラン(5930万米ドル)を超える相続および贈与に対し、50%の課税を提案している。提案を国民投票にかけるためにJUSOが集めた署名は実施要件を満たす数に達しており、投票は実施される見通し。JUSOの代表はロイターに、2026年末ごろまでに実施すべきだとの考えを示した。

JUSOの主張は、気候変動対策の費用を超富裕層がもっと負担すべきだというもの。スイス政府は提案に反対している。

ロシャ氏は「この提案が存在し、話題に上っており、投票にかけられるという事実自体が、約2年にわたる多大な不透明感をもたらすものだ」と猛反発。超富裕層であるロンバー・オディエの顧客はこの話題で持ちきりであり、多くの人々が「スイスから脱出する」などの緊急対応を考えていると述べた。

ロシャ氏はまた、スイス経済の繁栄は大企業よりも、世界に向けて輸出を行う中規模企業(KMU)に依存していると指摘。提案はKMUに対する「文字通りの核爆弾」であり、オーナー経営者がスイスから逃げ出しかねないと警鐘を鳴らした。