ゴールド(金)が記録的な高値に…専門家が需要以外に指摘する側面とは?(海外)

AI要約

ゴールドの価格が予想を上回り、1オンスあたり2500ドル以上に到達した。

需要の高まりだけでなく、米ドル含む通貨の価値が下がると価格が上がる側面もある。

外貨の実質価値の低下によってゴールドの価格が押し上げられている。

ゴールド(金)が記録的な高値に…専門家が需要以外に指摘する側面とは?(海外)

ゴールド(金)の価格は今年、あらゆる予想を上回っており、1オンスあたり2500ドル以上に到達した。

高騰は需要の高まりで説明がつくが、専門家によると、このトレンドには別の側面がある。

ゴールドは、米ドル含む通貨の実質価値が下がる時にも価格が上がるという。

2024年はゴールド(金)にとって、重要な年になっている。

ゴールドの価格は年初のあらゆる予想を上回っており、最近になって1オンスあたり2500ドル(約36万円)以上の高値を更新した。

今年1月、ロンドン貴金属市場協会(LBMA:London Bullion Metals Association)の調査で、アナリストは最高値は2100~2405ドル(約30~35万円)の範囲になると予想していた。

最近「記録的高値」が何度かあったが、アナリストは年内にさらなる高値がくると期待している。

だが、今回が画期的なのが、映画などでよく見られる金の延べ棒(重さ27ポンド、正確には400トロイオンス)が今、1つ100万ドル(約1億4400万円)以上の価値がある、ということだ。

人は概数が大好きだ、特にゼロ6つの大きな概数が。だからこの数字は世間の関心を集めている。例えほとんどの人が、実際にはそんな値段のついた物を買うことがないとしても。

いずれにせよ、我々には100万ドルを実物資産として可視化する、新たな方法を手に入れた。ヨット、邸宅、そして今はこの、金の延べ棒だ。

この金の延べ棒は、象徴的かつ影響力の大きいフォーマットだが(業界ではロンドン・グッド・デリバリー・バーズ[London Good Delivery Bars]として知られている)、一般人はキログラム、100グラム、1オンスなどの小さな単位を選ぶことが多い。

金の専門家がBusiness Insiderに語ったところによると、価格を新たな高みへと押し上げているは、延べ棒やコイン(硬貨)をコストコ(Costco)で購入するコレクターよりも、世界中の中央銀行だ。アメリカで、すぐそこまで来ている利下げは大抵、金を押し上げる。米国債のような他の資産の魅力を相対的に下げるからだ。

「FOMO(fear of missing out:取り残されることへの恐れ)はまだ今のところ金地金市場に浸透していない。しかし、2000~2500ドル(約28万8000~36万円)以上に上がると、そうなることも予想される」とキトコ・メタルズ(Kitco Metals)のトレーダー、ジョナサン・ダ・シルバ(Jonathan Da Silva)はメールで述べた。

そして、欧米以外の消費者のゴールドへの関心は、アメリカでの人気以上のものがある、とアイルランドに本社を構える貴金属サービス企業、ゴールドコア(GoldCore)の取締役で共同創業者、スティーブン・フラッド(Stephen Flood)は述べている。

だが、専門家らがBusiness Insiderに語ったところによると、このトレンドには別の側面があるという。

「(ゴールドの)需要は上がっている。だがそれ以上に、通貨の価値が低下している」とフラッドは述べた。

安全資産と考えられているゴールドの現物価格は、米ドル、英ポンド、ユーロを含む通貨の実質価値が下がる時にも上がるのだ。別の言い方をすれば、ゴールドの価格上昇は、ドルの購買力低下を示している。

通貨の価値は、いくつかの理由で下がる可能性がある。中でも大きいのはインフレだが、地政学的リスクや国家による外貨準備金保有意欲も関係する。

国際通貨基金(IMF)によると、ドルは2000年には世界の基軸通貨の70%以上を占めていたが、現在では60%以下にまで落ち込んでいる。一方、2008年の金融危機以降、金準備は急増している。

金の現物を所有することは、他の金融商品に投資するリスクを負うことなく、通貨の下落から富を守る方法だとジーニアス・ゴールド・グループ(Genesis Gold Group)のCFO、ジェイコブ・ディアス(Jacob Diaz)は述べている。