中国のゲーム『黒神話:悟空』が市場を活性化

AI要約

中国初の3Aゲーム『黒神話:悟空』が20日にリリースされ、大ヒットを記録。中国ゲーム市場に国産作品の新時代を築いた。

高い品質と開発コストを持つ中国初の国産3Aゲームで、孫悟空の冒険を楽しめる。中国のゲーム業界が国際的に評価される可能性も。

関連商品の人気や株価急騰、観光地との連携など、『黒神話:悟空』はさまざまな分野で注目を集めている。

中国のゲーム『黒神話:悟空』が市場を活性化

【CNS】中国初の3Aゲーム『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』が20日に正式にリリースされた。発売からわずか2日目の夜には、同ゲームのピーク時のオンラインプレイヤー数が235万人を超え、日本で人気の『エルデンリング(ELDEN RING)』を超える成績を収め、人気ゲームプラットフォーム「Steam」の歴史上、買い切り型のゲームとして最高の記録を樹立した。このゲームに関連する商品は大ヒットし、関連株式も急騰、ゲーム内で登場するロケ地の注目度も大きく高まった。

 これまで、中国の家庭用ゲーム市場はほとんどが欧米や日本の高品質な作品に占められていたが、『黒神話:悟空』は、中国初の本格的な国産3Aゲームとして、プレイヤーが中国文化を感じながら、孫悟空の冒険を体験できる画期的な作品となった。

 3Aゲームとは、高品質、高コスト、大規模なゲームを指す。『黒神話:悟空』のプロデューサーである馮驥(Feng Ji)氏は、このゲームの1時間あたりの開発コストが2000万元(約4億295万円)以上に達し、全体のプレイ時間は20時間以上を予定しており、開発コストは少なくとも3億元(約60億4422万円)から4億元(約80億5896万円)が必要だと述べている。

 投資・証券など総合的金融サービス業を営む中金公司(CICC)が発表したレポートでは、『黒神話:悟空』は中国の3Aゲームの品質を示すものであり、ゲームの開発技術や美術表現、アクション、ゲームプレイの革新、さらには文化的な内容において、中国のゲーム会社が世界的に高い評価を得ていることを示している。

「2023年世界家庭用ゲーム市場調査報告書」によると、トップ製品のうち、知的財産権(IP)を持つ製品の割合は83パーセントに達している。そして、孫悟空というキャラクターは間違いなく「金字塔の頂点のIP」であり、1960年代の手塚治虫(Osamu Tezuka)監督のアニメ『悟空の大冒険』、1978年の日本版『西遊記』、1990年代初頭の韓国アニメ『新編西遊記』など、四大名著の一つである『西遊記』はアジア全域、さらには世界中で強い影響力を持っており、悟空というキャラクターには巨大な市場がある。このゲームの予告編が公開された際、著名なゲームプロデューサーである小島秀夫(Hideo Kojima)は、X(旧ツイッター<Twitter>)で「このゲームの予告編を見て以来、とても興味を持っている」とコメントし、「私たちの世代にとって、孫悟空は非常に馴染み深いキャラクターであり、とても楽しみにしている」と述べた。

 中国国内ゲームの販売ランキングによると、複数のプラットフォームを総合した結果、『黒神話:悟空』の総販売数は450万本を超え、Steamの全世界の国と地域で販売ランキングのトップに立った。ゲームがリリースされて以来、その出版元である浙江出版伝媒の株価も何度かストップ高を記録している。

 『黒神話:悟空』の人気は他の分野にも広がっている。瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)とこのゲームがコラボしたコーヒーは、発売から半日で売り切れた。配車サービスの滴滴出行(Didi Chuxing)も、ゲームのリリース日に「仕事は中断!すぐに車を呼んで家に帰り、『天命』に立ち向かおう」という宣伝を行った。さらに、聯想集団(レノボグループ、Lenovo)やソニー(Sony)といったブランドも、このゲームとのコラボプロモーションを展開している。

 また、22日には「悟空の故郷」と称される江蘇省(Jiangsu)連雲港市(Lianyungang)の花果山景区が、『黒神話:悟空』をクリアしたプレイヤーに無料で景区の入場券を提供すると発表した。ゲーム内に何度も登場する山西省(Shanxi)の古建築に関連して、山西省文化観光局は「黒神話観光ルート」を打ち出し、「悟空と一緒に山西を巡り、ゲームの世界を現実に再現しよう」と宣伝している。さらに、安徽省(Anhui)や浙江省(Zhejiang)の文化観光部門も、ゲームの撮影地を活用して地元の観光スポットを宣伝し、より多くのプレイヤーに中国の建築文化や自然景観を知ってもらうことを目指している。

 分析によると、『黒神話:悟空』がこれほどの売り上げを達成しても、商業的な効率ではトップのモバイルゲームには及ばないという課題がある。欧米の3Aゲーム会社も同様の問題に直面している。しかし、このゲームが成功し、国際的に高い評価を得ることができれば、中国のゲーム業界が今後成長し、さらなる発展を遂げるための重要なステップとなるだろう。

 米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の最新レポートでは、『黒神話:悟空』が中国のゲーム業界にとって重要な転換点であり、中国のゲームが世界市場へ進出するための大きな一歩であり、中国の3Aゲームへの投資を促進する可能性があると述べている。このゲームのプロデューサーである馮驥氏は、2016年には米国の単独ゲーム市場が約100億ドル(約1兆4361億円)、日本が約50億ドル(約7180億5000万円)だったのに対し、中国は1億ドル(約143億6100万円)にも満たなかったが、研究では2026年から2031年の間に、中国の単独ゲーム市場が日本の市場規模に達するか、それを超えると予測されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。