水面のごみを飲み込む自律型太陽光発電ボート、アジアで活躍
クリアボットは、自律型太陽光発電ボートを使用して海洋ごみを収集し、海洋環境を改善する取り組みを行っている。
船は水面に浮かぶごみを収集し、様々な用途で活用されており、オンラインで遠隔操作や自動運転も可能である。
同社の船は、水底マッピングや水質検査などの活動に活用され、海洋事業の脱炭素化に貢献している。
香港(CNN) 香港のマリーナに停泊しているスピードボートや高級ヨット、漁船の合間を縫って、異なる種類の船が稼働している。この全長3メートルの無人双胴船は水面に浮かぶごみをパックマンのように器用に飲み込みながら進んでいく。
捨てられたペットボトル、ジュースの紙パックや容器が船の前方の隙間を通り、ベルトコンベアを上っていく。ごみはカメラで撮影されたあと、船の中央にあるごみ箱に捨てられる。
米国の非営利団体オセアナによると、推定1500万トンのプラスチックごみが毎年海に流れ込む。これは毎分ごみ収集車2台分のゴミを海に投棄するのと同じ量だ。そのほとんどは川や海岸線を経由して海に流れ込む。
海洋技術の新興企業クリアボットは、先の船のように1時間当たり80キロの廃棄物を回収し、200キロを積載できる自律型太陽光発電ボートでこの状況を変えようとしている。
同社はこの過程で人力と化石燃料に大きく依存している海洋産業の発展に貢献したい考えだ。
2020年に創設されたクリアボットは現在、香港、タイ、インドのさまざまな政府機関や企業顧客向けに約12隻のボートを操業している。
この中には宗教的に重要だが著しく汚染されたインドのガンジス川からごみを収集する船も含まれる。
船が収集したごみの処理方法はプロジェクトや地域によって異なるが、現地の廃棄物管理会社やリサイクル業者と連携することが多い。
この船はオンラインで遠隔操作することも、自動運転するよう設定することもできる。
同社は、船が障害物を回避したり、収集したものを分析したりできるアルゴリズムを開発。当局はこの分析データを使って水路へのごみの流入を食い止めるための対策を取れるようになる。
船はごみを吸い取るだけではない。クリアボットによると、同社の船は他にも数多くの「退屈で、汚く、危険な」仕事に対応できる。
タイの首都バンコクでは、湖の藻を除去している。ごみを回収するのと同じベルトコンベアシステムを使用しているが、藻が通り抜けないようメッシュの素材を細かくしている。
渡り鳥の休息地である香港のマイポー自然保護区では、人工知能(AI)モデルを使用して外来種のスクミリンゴガイの卵を除去している。
ボートには水底をマッピングしたり、水質を検査したり、サンプルを採取したりするためのさまざまなセンサーやツールを装備できる。カッターはヒヤシンスなどの外来植物を除去することができ、着脱式のブームは流出した油の清掃に役立つ。
クリアボットは、同社の船が化石燃料で動くボートに取って代わることで、さまざまな用途で海洋事業を脱炭素化させる可能性があると述べた。
クリアボットは、水域環境の改善に向けてテクノロジーを活用している唯一の企業ではない。世界中の起業家、学者、NGOが水路を清掃し、水面下の事象に関してより多くの情報を取得するイノベーションの開発を急いでいる。オランダに拠点を置くランマリンテクノロジーなどの企業も自律型廃棄物収集船に取り組んでいる。