結婚して夫の姓に改姓した私。20年後に自分の「姓」を選び、自身を取り戻すまで【アメリカ】

AI要約

海外では「夫婦別姓」の選択が可能なのに対し、日本では「選択的夫婦別姓制度」への法改正が長年にわたり議論されているが、いまだにその選択肢は認められていないーー。

アメリカでの結婚後の女性の名字の改姓慣習に関するエッセイ。番組「ラブ・イズ・ブラインド」を通じて女性の改姓に対する考え方の違いを示唆。

伝統的な考え方に固執する一部の女性や家庭が、結婚後に名字の改姓を選択する傾向があり、異性婚した女性の多くが夫の姓に変更している現状を指摘。

結婚して夫の姓に改姓した私。20年後に自分の「姓」を選び、自身を取り戻すまで【アメリカ】

海外では「夫婦別姓」の選択が可能なのに対し、日本では「選択的夫婦別姓制度」への法改正が長年にわたり議論されているが、いまだにその選択肢は認められていないーー。

以下は、アメリカの女性によるエッセイです。

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私が3月に、アメリカ・バーモント州にあるスタジオセンターのアーティスト・レジデンシー(一定期間滞在し、芸術活動を行う)に参加したときのこと。

夕食後は寝るまでの数時間を執筆にあてることを日課にするつもりだったが、代わりに仲間たちと一緒に共有スペースのソファに座り、テレビで「ラブ・イズ・ブラインド」を見るのに夢中になってしまった。

この婚活リアリティー番組をあーだこーだ文句を言いながら見るのは、重いテーマについて執筆し続けた長い1日の後にリラックスする方法だった。

「異性愛が当然」かのように描かれている同番組とはいえ、複数のシーズンを通じて、結婚後の改姓について疑問視する女性がほんの数人しかいなかったのにはショックを受けた。参加女性が「早くミセス○○さんになりたい!」と叫ぶのを何度聞いたことかーー。

これを見るまで、結婚と同時に女性が男性の名字に改姓するという慣習は、ミレニアル世代やZ世代ではあまり一般的ではないと思っていた。しかし、Pew Research Centerの2023年の調査によると、異性婚した女性の79%が夫の姓に改姓しているという。

もちろん、この慣習は私にとって新しいものではない。私は1980年代、ジェンダーやセクシュアリティ、女性の役割について厳格な考えを持つ、保守的で宗教的な家庭で育った。こうした環境では、女性は夫に従順であるべきとされた。夫の姓を名乗ることで、父親の所有物ではなく、別の男性の物になることを示す意味合いがあった。

1970年代には法や社会制度が変わり、これらの慣習に縛られなくてもよくなった。それにも関わらず、伝統的でも宗教的でもない家庭で育った女性の中にも、いまだに結婚後に改姓する人が多くいる。

足元では、大卒で経済的に自立可能な女性が増えているが、結婚後に配偶者の名字に改姓する異性婚した女性の割合は1970年代以前の数字に戻っている。