ネットゼロ経済実現に向けた、EUの人材育成戦略

AI要約

EUは2030年までに太陽光などの技術需要の40%以上をEU域内で供給する目標を掲げている。

NZIAが「ネットゼロ産業アカデミー」設立で熟練労働者の育成に注力。

欧州ソーラーアカデミーをはじめとする個別のアカデミーで10万人の訓練を予定。

記事のポイント

①EUのNZIAは30年までに太陽光などの技術需要の40%以上を域内で供給へ

②その実現へNZIAでは「ネットゼロ産業アカデミー」の開設を掲げている

③第一弾として「欧州ソーラーアカデミー」を開設、設立3年で10万人を訓練へ

ネットゼロ経済(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる経済)の実現を目指すEU(欧州連合)は、2023年3月にネットゼロ産業法(NZIA)の提案を採択。太陽光発電などの関連技術について、2030年までに技術需要の40%以上をEU域内で供給する目標を掲げた。(新語ウォッチャー=もり ひろし)

この取り組みには熟練労働者の存在が不可欠だ。ある推計では2030年までに太陽光発電部門で6.6万人、水素部門で18万人の熟練労働者が必要になると予測する。

その人材確保を目的に、NZIAでは「ネットゼロ産業アカデミー」の開設を掲げている。技術者育成のための学習プログラムや教材などを開発する組織のことだ。その成果は提携する職業訓練機関などに提供する。

技術分野別に個別のアカデミーを設立する点も特徴。その第一弾として、太陽光発電技術に特化した「欧州ソーラーアカデミー」が24年6月に開設された。これら個別のアカデミーでは、設立3年以内に10万人の訓練を実施する予定とされる。

なおモデルとなった「欧州バッテリーアカデミー」(22年2月設立)の場合、24年4月時点で6.7万人の労働者の訓練を実施中だ。