2024年、米国の映画館の「ポップコーンバケツ」が大バズりしているわけ

AI要約

2024年は映画館でのポップコーンバケツ戦争が勃発し、映画と同じくらい盛り上がっている。

映画館のポップコーン容器がデザインやコンセプトに凝り始め、高額で販売されるようになった背景には業界の収入不足と新たな収入源の必要性がある。

ポップコーンバケツは映画の宣伝にもなり、よりバイラル化し、コレクターズアイテムとしての地位を高めている。

2024年、米国の映画館の「ポップコーンバケツ」が大バズりしているわけ

映画館での映画鑑賞のお供と言えば、いまも昔も「ポップコーン」だろう。紙の容器に入った山盛りのポップコーンは、映画を観る前から何とも言えない高揚感を与えてくれる。

そんな映画館のポップコーンがいま、新たな次元に突入しているようだ。ヨーロッパメディア「ユーロニュース」が伝えるには、2024年は「ポップコーンバケツ戦争」勃発の年なのだという。

始まりは、2024年3月に公開された『デューン 砂の惑星 PART2』だ。米ゲームメディア「ポリゴン」は、大ヒットを記録した同映画に関して驚くべきは、米大手映画館チェーン「AMCシアターズ」がプロモーション用に作ったポップコーンバケツが、「映画そのものと同じくらいバズった」ことだと書く。それも、公開数週間前からバケツが話題だったとし、そのデザインを手がけたクリエイティブ・ディレクターのインタビューを掲載している。

そのポップコーンバケツは、映画内で砂地に生息するミミズのような巨大生物「サンドワーム」をモチーフにしたものだが、どう見ても「大人のおもちゃに見える」ことから、ネット上で話題を呼んだ。

結局、AMCシアターズのマーケティング戦略は功を奏し、サンドワームバケツは一瞬で完売。「eBay」などインターネット通販サイトでは、もとの価格の3倍以上の値で取り引きされていると、米カルチャーメディア「アルティメット・クラシック・ロック」は報じる。

同メディアの「2024年、もっともワイルドなデザインの映画ポップコーンバケツ」という記事によると、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は、5種類ものバケツを販売し、『デッドプール&ウルヴァリン』は、公開の2ヵ月前から動画つきでポップコーンバケツを発表。前出の『デューン』と“同じ路線”の商品が話題を呼んでいた。

ほかにも、『怪盗グルーのミニオン超変身』は、抱っこ紐タイプのポップコーンバケツ、『インサイド・ヘッド2』は、劇中の「感情コントロールパネル」を模したバケツ……と、ヒット作とポップコーンバケツは切っても切れない関係のようだ。

こうした手の込んだポップコーン容器が増える背景には、何があるのだろうか?

ユーロニュースが一言でまとめるには、「収入」だ。映画館でポップコーンバケツは一つ20~60ユーロ(約3200~9600円)で販売されている。

それは、新型コロナウイルスの流行で収入を失い、さらに、映画公開日からストリーミング開始日までの期間がどんどん短くなっている映画館業界が編み出した、クリエイティブな収入源なのだ。

加えて、バケツのデザインがオンラインで話題になることを考えると、映画の宣伝にもなる。「より精巧で、より映画に忠実で、(そしてよりくだらない)デザインであればあるほど、よりバイラル化し、コレクターズアイテムとしての地位を高め、人々を映画館に呼び寄せる」のだ。

ますます高額化し、コレクターズアイテムへと変貌を遂げたポップコーンバケツ。Apple製品の絵文字にもなっている、赤と白の縞模様の紙容器はもう前時代のものになるのだろうか……。