公道で「走る凶器」と化すロシア軍戦車、犠牲者は哀れな一般人たち
ロシア国内で軍用車両による交通事故が相次いで発生しており、民間人が犠牲になっている。6月から7月にかけて少なくとも4件の事故が報告されており、そのうちの一つでは39歳の女性と6歳の息子が死亡している。
事故車両はロシア軍のものであり、それぞれの事故現場では命を奪われたり重傷を負ったりした民間人がいる。兵士たちの振る舞いが問題視され、一部は事故現場から逃走するなどの行動を取っている。
過去にはウクライナの戦場でも同様の事故が発生したことが報告されており、戦車が自国の部隊を誤って攻撃する事例がある。報道された映像では、戦争の実情を物語る光景が映し出されている。
この夏、ロシア国内で軍用車両による交通事故が相次いで発生、民間人の命が奪われている。
6月から7月にかけて、国内の道路でロシア軍の戦車やトラックが一般車両に衝突する事件が少なくとも4件起きた。
ロシア南部ロストフ州ノヴォシャフチンスクで、39歳の女性とその6歳の息子がロシア軍のトラックに衝突されて死亡した。この事故で他の9歳、16歳、17歳の子供3人も入院した、と地元メディアは7月31日に報じている。
ロシアの独立系調査報道サイト「ザ・インサイダー」は、車両のマークから事故を起こしたトラックがロシア東部軍管区に属していることが明らかになったと報じた。
このような事件は7月で3件目になると、ロシアの独立系メディア「モスクワ・タイムズ」は報じている。
7月24日には、ウクライナと国境を接するロシアのベルゴロド州で、ロシア軍の戦車が一般車両に衝突し、運転手が死亡した、と地元のテレグラムチャンネル「ペペル」が伝えた。
「男性は戦車の車輪の下で死亡した」と同チャンネルは報じ、「戦車は車に道を譲らず、車の上を走った」と付け加えた。
犠牲者は地元に住む73歳のコンスタンチン・ロパチンだった。目撃者によれば、戦車を操作していた兵士たちは「頭がおかしくなっているような有様」だったという。
■戦場での振る舞いそのまま
ペペルによれば、同様の事件は6月初旬にも起きていた。酒に酔ったロシア軍兵士が運転する車両が民間人の車を轢き、ベルゴロド在住でトラック運転手のアンドレイ・アレクセーエフが死亡した。
「遺体の位置から判断すると、男性はおそらく車から降りようとしていたが、 間に合わなかったようだ」と同チャンネルは現場のビデオ映像から分析した。
目撃者がペペルに語ったところによると、戦車に乗っていた兵士たちは事故現場から逃げようとしたという。約3キロ近く離れたクラシボ村の近くでやっと停車した。
ウクライナの戦場でも、ロシア軍の戦車が誤って自国の部隊を轢いたという話はよく報告されている。
親ロシア政府派のテレグラムチャンネル「グレー・ゾーン」は昨年2月、戦車の下に引きずり込まれる2人の兵士や、炎に包まれた兵士が爆発直前に戦車から逃げ出す姿を映した映像を投稿した。
グレー・ゾーンは、「まさに実情を物語る」映像だ、と伝えている。「少なくとも30台の車両が破壊され、体に火が付いた戦車兵が走り回り、BMP(装甲兵員輸送車)が自軍兵士を押しつぶす――チェチェンでの戦争を描いた映画『Purgatory(煉獄)』のような光景だ」