SNSで若い世代、女性や黒人系の支持を集める「ハリス副大統領」の人物像とは? ワシントン支局長が解説する現地の反応

AI要約

ハリス氏の生い立ちや経歴、支持率、アメリカの若い世代からの支持について

ハリス氏がバイデン政権で不振な面を示すが、一転して支持率が上昇

ハリス氏の今後の展望や政治戦略、世論の変化について

SNSで若い世代、女性や黒人系の支持を集める「ハリス副大統領」の人物像とは? ワシントン支局長が解説する現地の反応

 アメリカのバイデン大統領が大統領選から撤退し、新しい候補のハリス副大統領が話題となっている。

 1964年にカリフォルニア州オークランドで生まれたハリス氏。父はジャマイカ出身、カリフォルニア大学バークレー校に留学した秀才で、スタンフォード大学で教授を務めた経済学者。母はインド出身、デリー大学を19歳で卒業後、カリフォルニア大学バークレー校の大学院へ進み、のちに乳がんの研究者となった。2人はそこで結ばれ結婚し、長女のハリス氏が誕生したが、夫婦の仲はうまくいかず離婚したという。

 ハリス氏は勉強を重ねて検事となり、黒人女性として初めてカリフォルニア州の司法長官にも選出された。2016年には、南アジア系では史上初、アフリカ系女性としてアメリカで史上2人目という上院議員となった。

 そんなハリス氏が今、アメリカの若い世代を中心に、支持を集めているという。ハリス氏への支持を表すココナッツの木の絵文字を引用した投稿がSNS上で拡散され、大盛り上がり。ANNワシントン支局長の梶川幸司氏は、「アメリカメディアでは『Z世代がハリス氏の愛すべきぎこちなさを肯定的な意味で面白がっている』と伝えている」と語る。

 支持率もトランプ氏に伯仲し、CNNの世論調査では、トランプ氏の支持率49パーセントに対し、ハリス氏の支持率は46パーセントと拮抗。さらに、34歳以下の登録有権者に限れば、ハリス氏がトランプ氏の支持率を上回るという逆転現象も起きている。黒人系からの支持に至っては、トランプ氏が15パーセントに対し、ハリス氏は脅威の78パーセント。

「Z世代、女性、黒人の支持が急速に伸びている。老老対決に嫌気がさしていただけに、59歳の新鮮さから瞬間風速として良い結果が出ていると思われる」(梶川幸司氏)

 猛烈な勢いで追い上げを見せるハリス氏だが、元NNNワシントン支局長でジャーナリストの青山和弘氏は「この盛り上がりはご祝儀みたいなもの。落ち着いたら化けの皮が剥がれてくる」と分析。

 梶川氏によると「ワシントンではハリス氏は副大統領として目ぼしい実績を上げることができず、むしろバイデン政権の足を引っ張る存在として評判は散々なものだった」という。バイデン政権時代、不法移民問題に対して何もできず無能とやゆされ、その失策を問題視されている。さらに、副大統領として外交面ではアジアを中心に歴訪。安倍元総理の国葬にも参列するなどしたが、これといった存在感を示せてはいない。

「9月10日に予定されているテレビ討論会。ハリス氏としては警察官vs罪人のレッテルを貼ってトランプ氏を追求したい構え。大統領選では『オクトーバー・サプライズ』という投票直前の10月に衝撃的なことが起きるという言葉もある。何が起こるかわからない」(梶川幸司氏)

 さらに、現地の反応として「この3週間で、トランプ氏の銃撃暗殺未遂事件、再選を目指した現職の大統領が『やめる』と言うなど、過去に例がなかったことが立て続けに起きた。盛り上がっていなかった大統領選が、ここへきて熱を帯びて注目を集めている」とした上で「81歳のバイデン氏と78歳のトランプ氏という老老対決に国民の7割くらいがもういい加減してくれと思っていただけに、59歳のハリス氏が出てきたことの新鮮さに、世論調査を見ても互角の支持率が出てきている」とした。

「黒人、女性、若者といった民主党が元々強かったところをバイデン氏は取り逃していた。高齢不安、インフレ問題があったこともあり。ここを急速に戻してきているので、こうしたものが瞬間風速に過ぎないのか、あと100日間持続することができるのかがポイントになってくる」(梶川幸司氏)

 また、ワシントンでの支持率が低いことについて「副大統領として評価されていない以前の問題で、政権の足を引っ張る存在で、マイナスの存在だと受け止められてきた。政治経験が浅いのは仕方がないにしても、副大統領になってから、人望がなく部下がころころ変わり、不法移民問題でも結果が出せなかったことで『仕事ができない』と散々な評判だった」と改めて指摘しつつも「この1週間の盛り上がりを見ていると、バイデン氏にうんざりしていた閉塞感が打破されたことも事実。今の新しいムーブメントの中で、従来のワシントンの解釈ではない新しいハリス像をうまく国民に植え付けることができれば、100日間で話は変わってくる」との見方を示した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)