世界遺産決定の佐渡金山 戦時中の朝鮮半島出身者は「内地と区別なし」指針 待遇面で配慮

AI要約

新潟県の佐渡島の金山が世界文化遺産に登録決定され、韓国からは戦時中の強制連行被害の主張があった。

戦時中の労働環境に関する指針や待遇について紹介し、内地出身者と同等の基準で対応されていたことがわかる。

福利厚生や娯楽に差別的表現もあったが、食事や家族との暮らしの支援など、いくつかの配慮も見られた。

世界遺産決定の佐渡金山 戦時中の朝鮮半島出身者は「内地と区別なし」指針 待遇面で配慮

27日に世界文化遺産への登録が決まった新潟県の「佐渡島の金山」を巡り、韓国側は選考過程で戦時中に「強制連行の被害現場だ」と主張した。日本が推薦した佐渡金山の文化的価値は江戸時代までに区切っていたが、戦時中の佐渡鉱山での朝鮮半島出身者の待遇に関しても、内地出身者と同等の基準で対応する指針が定められるなど、配慮を重ねていた様子が伺える。今回、日本は世界遺産登録を目指すにあたり、先の大戦中の過酷な労働環境を地元の展示施設で説明すると表明した。

■給与など「内鮮区別なし」

戦時中の佐渡鉱山の半島出身者労務を巡る対応指針は、昭和18年に佐渡鉱業所などがまとめた「佐渡鉱業所 半島労務管理ニ付テ」に記載されている。

待遇に関しては、内地出身者と同様としつつ、「勤務状況、性行などが不良な者に対しては、相当厳重な態度で臨み、賞罰を明らかにすること」と掲げ、採掘の効率向上のため、怠慢な作業員に対しては厳しい態度で臨む姿勢を示した。「逃亡防止」に関しても仲介者を厳罰にする方針を盛り込んでいる。

一方、半島出身者の大半を占める坑内作業員の賃金については、内地出身者と「同様」と強調し、年齢や経験などを考慮し、採掘量に応じた賃金を支給するとした。少数の坑外作業員には定額を支給した。

支払日も内地出身者と同様で、労働日数に応じて「精勤賞与」を支給し、「出勤競争」を行い、優勝班には表彰するとした。半島出身者に対し、グループごとに稼働率を競わせたとみられる。

勤続3カ月以上の半島出身者に対しては、団体生命保険に加入させたが、保険料の負担はすべて会社側とした。「万が一、不幸があった場合は保険金300円を贈呈する」とし、災害に関する扶助や退職の際の給与関係について、「内鮮区別なし」と強調した。

■朝鮮将棋など娯楽に差別的表現も

福利厚生を巡っては、家族と暮らす半島出身者に対しては、社宅を無料で貸与し、共同浴場施設やコメやミソ、しょうゆなど生活必需品を安価で配給するとした。単身者に対しても寄宿舎の利用を認め、舎費は徴収しないとした。

食事については内地出身者と同様の調理として、定額1日50銭とした。実際にかかった分との差額は会社が負担するとした。光熱費や浴場費も会社負担。作業用品や衣服、履物などの日用品の購入は安価に行うとした。