フィリピン首都で大規模洪水、台湾も被災 貨物船やタンカー転覆 台風3号

AI要約

フィリピンで台風3号「ケーミー」による大雨が洪水や土砂崩れを引き起こし、13人の死亡と60万人以上の避難が発生。マニラやルソン島では300ミリを超える豪雨に見舞われ、数万人が避難している。

マニラでは、住民が水につかりながら救助を待ったり、浸水した住宅から救出される姿が映され、被害の大きさが伝えられている。被災地では救助作業が続けられており、赤十字が支援の募金を呼びかけている。

台風は台湾にも上陸し、北東部で2人の死亡と多数の負傷者が出た。さらに台湾各地では欠航や施設閉鎖が続く中、南部の高雄市では貨物船の転覆事故が発生。台風は中国にも影響を及ぼし、大雨や洪水が続いている。

フィリピン首都で大規模洪水、台湾も被災 貨物船やタンカー転覆 台風3号

(CNN) 台風3号「ケーミー」が接近したフィリピンで大雨による洪水や土砂崩れが相次ぎ、少なくとも13人が死亡、60万人以上が避難した。首都マニラ沖では強風と高波にあおられてタンカーが転覆し、海上に油が流出している。フィリピン当局が25日に明らかにした。

ケーミーはフィリピンには上陸していない。しかし台風とモンスーンが重なって大雨が続き、マニラやマニラのあるルソン島は、所によって300ミリを超す豪雨に見舞われた。マニラには24日に災害宣言が出され、数万人が避難している。

マニラで撮影された映像には、道路が河川と化す中で、胸の高さまで水につかりながら歩いたり、頭上の電線にしがみついたりする人たちが映っている。子どもたちにタオルやレインコートをかぶせた家族が、浸水した住宅から救助されてボートの上で身を寄せ合っていた。

フィリピン通信によると、マニラ首都圏(人口1300万人)では建物の1階の高さまで水につかった地域もあり、屋根の上に取り残されて救助を待つ住民もいた。

地元当局者は「何の備えもなかった。台風は予想していたが、これほどの大雨は予想できなかった」と話している。

完全に水没した住宅や、冠水した道路に沈んだ車両もあり、25日も浸水した住宅から住民を救助する作業が続けられている。

マニラ南部のケソン市では大きな被害が出ており、市がX(旧ツイッター)に投稿した情報によると、約1万6000世帯の5万5000人あまりが避難所に身を寄せている。

フィリピン赤十字は、被災者支援の緊急募金を呼びかけた。

首都を流れる大動脈のマリキナ川は氾濫(はんらん)し、地元メディアは24日、パシグ市で複数のはしけが橋に衝突する映像を流した。パシグ市長の同日夜の記者会見によると、男性1人がはしけから救出され、近くの病院で手当てを受けた。

台風ケーミーはフィリピンから北上して25日未明に台湾に上陸。大雨や突風、高潮によって、台湾北東部で少なくとも2人が死亡、300人近くが負傷した。

台湾の大雨は25日も続き、2日連続で空の便が欠航し、金融市場や学校、事業所などが閉鎖されている。山間部では1219ミリの雨を観測した所もある。

台湾消防当局によると、南部の高雄市沖では25日、乗員9人が乗船していたタンザニア船籍の貨物船が、しけに遭って転覆した。同船には救命ボートの装備がなく、乗員全員が投げ出されてライフジャケットで海上に浮いているという。

台風は25日夜、中国南部の福建省に上陸し、暴風や大雨をもたらした。中国ではただでさえ、何週間も続いた大雨や洪水で死者が出ていた。

フィリピン沿岸警備隊は25日、100万リットル以上の工業用燃料油を積載したタンカー「MTテラノバ」が、マニラ西部のバターン沖で転覆したと発表した。乗員16人は救助され、行方不明になった1人の捜索が続けられている。

沿岸警備隊は流出した油の監視を上空から続けており、推定2カイリの範囲に広がった油が、潮流に乗って運ばれていると伝えた。