イスラエルがフーシ派に報復 イエメン西部の港を戦闘機で空爆

AI要約

イスラエル軍がイエメン西部ホデイダの港湾をフーシ派への報復攻撃として空爆した。フーシ派の攻撃による被害を受けたイスラエル市民への初の攻撃であり、紛争拡大の懸念がある。

ホデイダ港はイラン製武器の密輸に使われており、港や発電所、燃料貯蔵タンクが標的となり、停電が発生。イスラエル側は数百件の攻撃に報復したと述べる一方、フーシ派はイスラエルへの攻撃を強調。

フーシ派はイスラエルとハマスに連帯を表明し、民間船やイスラエル領内への攻撃を続けている。イスラエル側も無人機攻撃への対応強化を模索している。

イスラエルがフーシ派に報復 イエメン西部の港を戦闘機で空爆

 イスラエル軍は20日、親イラン武装組織フーシ派が支配するイエメン西部ホデイダの港湾を戦闘機で空爆したと発表した。イスラエルの商都テルアビブでは19日、フーシ派によるとみられる無人機攻撃で死傷者が出たばかりで、イスラエルが報復攻撃に踏み切った形だ。昨年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まって以降、イスラエル軍がイエメンを空爆したのは初めてとみられ、紛争が拡大する恐れもある。

 イスラエル軍は「ここ数カ月の数百件の攻撃に対する報復」として空爆したとしている。ホデイダ港はイラン製武器の密輸に利用されていたことから標的にしたという。フーシ派などによると、空爆されたのは港や発電所、燃料の貯蔵タンクなどで、付近では大規模な停電が起きた。死傷者が出たとの情報もある。

 イスラエルのガラント国防相は「初めてイスラエルの市民に被害を出したため攻撃した。今後も必要ならどこでも攻撃する」と述べた。一方、フーシ派は声明で「イスラエルの重要な標的を攻撃することにためらいはない」と述べ、イスラエルへの攻撃を激化させる姿勢を改めて強調した。

 フーシ派はガザ地区の戦闘が始まって以降、ハマスに連帯を表明し、紅海などを航行する民間の商船やイスラエル領内を狙った攻撃を続けてきた。米英軍などはフーシ派の拠点を繰り返し空爆しているが、フーシ派による攻撃は激化している。

 テルアビブでは19日未明、中心部の米領事館近くで爆発があり、男性1人が死亡したほか、少なくとも8人が負傷した。フーシ派は同日、「撃撃システムを回避できる無人機」でテルアビブを攻撃したと主張。イスラエル軍も、イエメンから飛来したイラン製無人機による攻撃だった可能性があると指摘していた。【カイロ金子淳】