西側諸国の混乱とウクライナ侵攻の今後 トランプ氏〝復活〟が右傾化を推進 欧州で和平や停戦探る動きも

AI要約

米大統領選やフランスの総選挙、英国の政権交代についての混乱が続いている。

ロシアのウクライナ侵攻をめぐる影響や各国の対応に注目が集まっている。

各国の選挙結果や政策により、国際情勢が変化していることが明らかになっている。

【日本の解き方】

米大統領選やフランスの総選挙、英国の政権交代など西側諸国の混乱が続いている。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる支援体制や停戦をめぐる議論などに影響を与えるのだろうか。

米大統領選では、共和党のトランプ前大統領は「自分が大統領だったらロシアのウクライナ侵攻は起きなかった」と公言している。バイデン大統領の弱腰がロシアをその気にさせてしまったという意味だ。

そして、「ロシアのウクライナ侵攻をすぐに止める」と言う。もちろん、これは、今のウクライナにおけるクリミア半島と東部4州におけるロシアの支配を認め、さらにウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めないという条件での「和平」であろう。ウクライナの現状をロシアもウクライナも決定的に打開できないのであれば、現状凍結はたしかに一つの「和平案」になり得る。

英国では7月4日の総選挙で政権交代があった。政権を獲得した労働党は、国防政策に関してNATOと核抑止力の重視を打ち出した。かつての労働党は核軍縮に積極的だったが、現実路線になっている。国防予算に関しても、国防費を国内総生産(GDP)比2・5%に引き上げるとした。対ウクライナでは労働党は軍事・経済支援を継続するとしている。

負けた保守党も、対ウクライナで軍事・経済支援を継続するとし、18歳の若者に一定期間の兵役または公的機関での社会奉仕活動を課す「選択的兵役制」の導入を掲げた。これが、総選挙でマイナスになったとも言われている。皮肉なことに、労働党の穏健な右傾化があったために、保守党が「選択的徴兵制」で極右にみえたのが、政権交代の一因だろう。

フランスでは7日に行われた国民議会選挙で、右派政党・国民連合(RN)は事前に第一勢力と予想されていた。ところが、マクロン大統領が率いる与党連合が政策面で大きく異なる左派連合と共闘したことで、左派連合が第1勢力、与党連合が第2勢力となり、RNは第3勢力にとどまった。

RNは、自党から首相が誕生した場合はウクライナ政府に対し、仏供与の長距離兵器でロシア領内を攻撃するのを容認しないことになると明言していた。またマクロン大統領が示唆する仏軍のウクライナ派兵も阻止すると約束していた。