夏のモスクワの違和感 ロシア人にとってウクライナ侵略とは何なのか 赤の広場で

AI要約

モスクワの夏は短く、日が十分に沈まずエアコンなしでも快適に過ごせる。一方、冬は夜が長く日照不足で天候が悪い。市民にとって夏と太陽は貴重な存在であり、ウクライナ侵攻の影響も感じられる。

夏には若者が薄着で街を歩き、男性はビールを飲んだりアウトドアスポーツを楽しむ。しかし、侵略が続く現状には違和感を覚える。

ウクライナ各地で犠牲が出ており、モスクワ市民もその事実を把握している。今後も侵略の影響に注目が必要だ。

夏のモスクワの違和感 ロシア人にとってウクライナ侵略とは何なのか 赤の広場で

モスクワの夏は短い。毎年、6月ごろにようやく冬のコートが不要になったかと思ったら、9月には再びタンスからコートを引っぱり出したりする。だが、その夏は格別だ。緯度が高いため午後10時ごろまで日が沈まず、午前3時ごろには夜が明ける。湿度が低いため、エアコンなしでもほぼ快適に暮らせる。

反対に、冬は午後3時ごろには夜が始まり、午前9時すぎまで朝は来ない。雪に閉ざされる上、天候が悪い日が多く、何日も太陽を見られないのもざらだ。医師からは日光不足を補うビタミン摂取を勧められる。

つまり、モスクワ市民にとっては夏と太陽は貴重なのだ。若い女性はこちらがつい目を背けてしまうような薄着で街を歩き、男性は飲食店のテラスでビールを飲む。青年たちは上半身裸でスケボーやサイクリングをして笑いあっている。

それは、2年半前にウクライナ侵攻が始まるまではほほえましい光景として映っていた。しかし、開戦から現在に至るまで、例年同様の夏の光景が繰り返されていることには違和感を禁じ得ない。ウクライナ各地では多くの子供や市民が戦禍の犠牲になっている。モスクワ市民の多くもそれを知っているはずだ。モスクワ市民やロシア人にとって今回の侵略とは何なのか、今後も追っていきたい。(小野田雄一)