日台海保が千葉沖で合同訓練 1972年の断交後初めて

AI要約

日台関係者が明らかにした18日、海上保安庁と台湾の海巡署が千葉県沖の海域で合同訓練を行い、1972年以来初めての取り組みである。

今回の訓練は、日本と台湾が連携し、中国の力による現状変更を防ぐために行われたものとみられている。訓練内容には海難救助が含まれ、両国の協力関係を強化する一環として行われた。

中国の海洋進出に対抗し、日本と台湾が協力して海洋安全を確保する取り組みが今後も重要となる可能性が高い。

日台海保が千葉沖で合同訓練 1972年の断交後初めて

 海上保安庁と台湾の海巡署(海保に相当)の巡視船が18日に千葉県沖の海上で海難救助の合同訓練を行った。日台関係者が明らかにした。合同訓練は1972年の日台断交以来初めて。日台の連携を深めて、東シナ海や台湾海峡で力による現状変更を試みる中国に備える狙いがあるとみられる。

 関係者によると、訓練は海保のヘリコプター搭載型巡視船「さがみ」と海巡署の巡視船「巡護9号」が参加し、18日午前に千葉県房総半島南方の海上で行われた。

 海巡署によると、巡護9号は6月21日に台湾南部・高雄を出港し、太平洋中部、西部の公海上で行われた漁業パトロールに参加。その後、食料や燃料の補給のために東京港に寄港していた。

 日本は72年の中国との国交正常化に伴い、台湾との国交を断絶。日本側の「日本台湾交流協会」と台湾側の「台湾日本関係協会」が窓口機関となって、実務関係を維持している。今回の訓練は、両協会が2017年に取り交わした「海難捜索救助分野の協力に関する覚書」に基づく交流の一環として行われた。

 中国当局の公船は今年3月以降、福建省沖に浮かぶ台湾の離島・金門島周辺の事実上の領海・接続水域にたびたび侵入。「主権を守るためのパトロールの強化」だと主張する。中国は近年、沖縄・尖閣諸島周辺の領海などにも侵入を繰り返していて、その類似性が指摘されている。

 台湾与党・民進党の立法委員(国会議員)で、日本側と長く交流する郭国文氏は「海難救助以外にも犯罪対策など日本と海洋について協力できる分野は多い。日本と周辺国が協力する時には、台湾も加わっていきたい」と話した。中国外務省の林剣副報道局長は19日の定例記者会見で「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、日本側に抗議したことを明らかにした。【台北・林哲平】