北朝鮮の黄江ダム、豪雨の中で無断放流か…必勝橋の水位が急上昇=韓国

AI要約

北朝鮮が集中豪雨の中、韓国側への事前通報なく黄江(ファンガン)ダムで放流を始めた可能性が浮上。

必勝橋の水位が急上昇し、郡南ダム関係者は北の黄江ダムが放流した可能性を指摘。

北朝鮮側が放流情報を韓国側に通知しなかったことにより、住民と農耕地に被害が及ぶ恐れ。

北朝鮮が集中豪雨の中、韓国側への事前通報なく黄江(ファンガン)ダムで放流を始めたと推定される。

郡南(グンナム)ダムと漢江(ハンガン)洪水統制所、漣川郡(ヨンチョングン)などによると、臨津江(イムジンガン)最北端の軍事境界線付近の南方限界線にある必勝橋の水位が17日昼に急上昇する異常現象が表れた。17日午後1時30分に0.62メートルだった水位は以前まで徐々に増加した状態とは違って急激に高まった。

わずか10分間で水位が倍水準の1.21メートルとなり、59センチも急上昇した。それ以前までは、この日午前0時から雨が降る中でも10分間に1-11センチ程度と、必勝橋の水位はゆっくりと上昇していた。午後3時現在の必勝橋の水位は1.33メートルだ。

郡南ダムの関係者は「短時間に必勝橋の水位が急上昇したのをみると、北の黄江ダムが豪雨の中で放流した可能性があるとみられる」と話した。続いて「北側から水門開放の事前通知はなかった」と説明した。郡南ダム側は午後3時現在、必勝橋の13の水門のうち7つを一部開いた状態であり、1秒あたり250トンを放流している。1秒あたりの流入量は350トンだ。

環境部の関係者は「一日3回、衛星映像を通じて黄江ダムの下流河川をモニタリングした結果、ダム下流の河川幅には変化がなく、放流はなかったと推定する。当時、該当の臨津江流域に1時間あたり約40ミリの多くの雨が降った」とし「しかし黄江ダムで放流があったかどうかは確認する方針」と話した。

漣川(ヨンチョン)地域愛実践連帯のイ・ソクウ代表は「普段とは違い集中豪雨の時に黄江ダムで事前通報なく放流する場合、漣川地域の被害はもっと大きくなる」とし「北側は2009年10月14日の『臨津江水害防止南北実務接触』でダムで放流する場合は事前通報することで合意しただけに、人道主義的な立場でもダム放流の事実を我々側に事前に通知しなければいけない」と述べた。

必勝橋から10キロ下流の郡南ダム側は必勝橋の水位を4段階に分けて管理している。▼1メートル:河川行楽客の避難▼2メートル:非洪水期の人命避難▼7.5メートル:境界地域の危機対応関心段階発令▼12メートル:境界地域の危機対応「注意」段階発令だ。

約10年前に造成された北朝鮮の黄江ダム(総貯水量3億5000万トン規模)は韓国側の対応ダムである漣川郡南ダム(郡南洪水調節ダム、総貯水量7100万トン)の5倍規模だ。黄江ダムと郡南ダムの距離は56.2キロにすぎない。軍事境界線北側42.3キロの距離にある黄江ダムで1秒あたり500トンの水を放出する場合、南側の臨津江最北端の必勝橋には約9時間後に到達する。このため北朝鮮側が郡南ダムの状況を見ながら水門を開放したり、放流情報を事前に韓国側に通知したりしてこそ、臨津江下流にある京畿道(キョンギド)漣川・坡州(パジュ)低地帯の住民と農耕地の水害を防ぐことができる。

これに先立ち北朝鮮は9日午前、黄江ダムでまた事前通報なく放流したと、政府は把握した。環境部は衛星映像で黄江ダム下流の河川幅が広くなったことを把握、放流が進行されたと判断し、軍部隊と地方自治体に関連情報を伝えた。幸い、放流量が多くなかったため南側への流入量には大きな変化がなかった。統一部は梅雨期を迎えて3日から水資源公社、地方自治体と共に必勝橋の水位に対する24時間監視態勢に入った状態だ。

これまで黄江ダムの無断放流による被害が少なくなかった。南側臨津江上流の郡南ダム竣工(2011年6月)前の2009年9月6日、黄江ダムの無断放流のため漣川、臨津江の行楽客6人が死亡した。郡南ダム竣工以降も漣川と坡州、臨津江一帯で住宅・農耕地の浸水、漁船および漁具の流失などの被害が続いた。