こどもの疑問に“マジ回答”「なぜ走るのが速い人がいるの?」に専門家が本気で答えたら…

AI要約

足が速い人と遅い人の違いは、主に筋肉の速筋線維と遅筋線維の発達の差によるものである。

速筋線維は短距離でのパワーを生み出す優れた筋肉であり、遅筋線維は持久力に優れている。

遺伝的な要素も影響するが、トレーニングを通じてどちらのタイプの筋肉も鍛えることができる。

こどもの疑問に“マジ回答”「なぜ走るのが速い人がいるの?」に専門家が本気で答えたら…

足が速い人と遅い人は何が違うのでしょうか? 遺伝が関係するのであれば、いまさら私たちがトレーニングをしたところで無駄なのでしょうか? 専門家が解説します。

「世界一速い男」ウサイン・ボルトは、100メートルを平均10.43秒台(時速37.57キロ)で駆け抜けました。

これは、人間としては驚異的な速さです。近所を車でまわっているのとだいたい同じスピードです。車に乗っているときはさほど速く感じないかもしれませんが、人が走ってこれと同じスピードを出すとなると話は違います。これほど速いスピードで走れる人は、ボルトくらいのものでしょう。

足の速い人と足の遅い人がいるのにはいくつか理由があります。遺伝もありますが、その人が何を選択し、どんな経験を重ねたかによっても大きく左右されます。

私たちは小児運動科学者として、子供たちが健やかに育つ助けとなるプログラムの作成と評価をおこなっています。遺伝で受け継いだ性質はどうにもなりませんが、速く走れるようになるトレーニングは可能です。

速く走る能力を大きく左右するものとして、人間の体の仕組みが挙げられます。それには、筋肉の働きも含まれます。

人間の体には600以上の骨格筋があり、それらが連動して、さまざまな方向にさまざまな速さで体を動かすことができます。これらの筋組織は複数の筋線維グループからなり、それぞれ大きく2つにわけられます。速筋線維と遅筋線維です。

筋肉は、この速筋線維と遅筋線維のさまざまな組み合わせで作られています。たとえば、ふくらはぎは2つの筋組織からできています。1つは主に速筋線維からなる腓腹筋で、短距離走やジャンプ競技で威力を発揮する筋肉です。残る1つは主に遅筋線維からなるヒラメ筋で、こちらはウォーキングやジョギングに使われる筋肉になります。

速筋線維は遅筋線維と比べて太く、体を素早く動かし、大きな瞬発力を出すときに活躍します。短距離走の選手は、この速筋線維がよく発達している傾向があります。しかし速筋線維は疲労するのも早く、トップスピードで走れる距離も比較的短距離に限られます。

遅筋線維は速筋線維よりも小さく、全速力で走るのには不向きですが、速筋線維よりも持久力に優れています。長距離走選手や自転車競技選手は、遅筋系の筋肉が発達している傾向があります。

速筋線維と遅筋線維に属する筋組織が体のなかにどれだけあるのかは、ほとんど遺伝子によって決まるため、速筋タイプか遅筋タイプかに関しては、生まれ持った筋肉と向き合うしかありません。それでもエクササイズを通じて、どちらのタイプの筋肉も鍛えることは可能です。