中国農村部の職業学校生、数学コンテストでの活躍が話題に 不正疑惑も

AI要約

中国東部・江蘇省の職業学校生、姜萍さん(17)が数学コンテストで活躍し、賞賛を浴びる。

姜さんの実力を疑問視する声も上がり、ネット上で議論が巻き起こる。

中国社会に存在する職業学校への偏見や教育制度の問題が浮き彫りになる。

中国農村部の職業学校生、数学コンテストでの活躍が話題に 不正疑惑も

香港(CNN) 中国東部・江蘇省の職業学校生、姜萍(ジャンピン)さん(17)が、数学コンテストで世界のエリートたちを横目に目覚ましい活躍を見せ、インターネット上で大きな話題を呼んでいる。

コンテストは中国のネット通販大手アリババが2018年からオンラインで開催。今年の決勝ステージ1回戦には802人が進出し、先月13日に結果が発表された。さらに難関とされる最終の2回戦は先月22日に実施され、結果発表が来月予定されている。

コンテストには例年、世界の名門大学などから数学の成績優秀者が参加するが、中国で数学を専攻する学生が入賞者の多くを占める。今年の上位85人には、2000~3万ドル(約32万~482万円)の賞金が授与される。

職業学校で服飾デザインを学ぶ姜さんは、1回戦で12位に入った。国営メディアでも報じられ、社会の底辺というイメージがつきまとう職業学校生としては予想外の快挙と称賛された。

国営新華社通信によると、姜さんは中学時代から数学の成績が抜群に良かった。職業学校に入ってからの2年間は、同じコンテストで過去3回の決勝進出経験を持つ数学教師、王闰秋(ワンルンチウ)さんの指導を受けてきた。王さんは今年も出場し、125位に入っている。

中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、姜さんの1回戦での順位に関する投稿の閲覧数が6億5000万回を超えた。出身地では、ショッピングセンターのテレビ画面に姜さんの姿が映し出された。

しかし先月末以降、ネット上で姜さんの実力を疑問視する声が上がった。

2回戦の翌日、1回戦で190位だったハーバード経営大学院の学生が中国のQ&Aサイト「知乎(ズーフー)」に投稿。ほかの出場者38人と共同で主催者に対し、姜さんと王さんの予選での答案を調べるよう求める書簡を出したと発表した。書簡は、2人が結託してカンニングをした証拠があると主張している。

ネット上では2回戦の前から、姜さんの成績に疑問を投げ掛けるうわさが広がっていた。姜さんはコンテストの予選後に受けた校内の数学テストで150点中83点しか取れなかったと指摘され、地元当局も先月27日にこれを確認した。当局は翌日、「調査が進められている」ともコメントしたが、まもなく姜さんをめぐるネット上の投稿はすべて削除された。

この騒動の背景には、中国社会に根付いた職業学校への偏見がある。1980~90年代には人気の高い進路だったが、現在は成績が振るわず進学校に入れない「怠け者」のコースとされ、卒業生は工場勤務で人生を終えるというイメージが強い。

王さんは新華社通信とのインタビューで、姜さんの将来について、たとえ数学の才能があっても今から進路を変えることは不可能で、難関大学に出願することはできないと語った。

中国の現在の教育制度下では、姜さんの才能が埋もれてしまう可能性もあると、専門家は指摘している。