“ダブルヘイター”の支持獲得 米大統領選「第3の候補」に注目【WBS】

AI要約

バイデン大統領が選挙戦から撤退する可能性が報じられる中、ハリス副大統領やロバート・ケネディ・ジュニア氏など、代替候補が浮上している。

ハリス副大統領は、バイデン陣営のインフラを引き継ぎ、女性初の大統領として戦える可能性を持つ。

一方、ロバート・ケネディ・ジュニア氏は無所属から立候補し、ジョン・F・ケネディ元大統領のおいであり、新しい選択肢として存在感を高めている。

“ダブルヘイター”の支持獲得 米大統領選「第3の候補」に注目【WBS】

11月のアメリカ大統領選挙での対決の構図が大きく変わるかもしれません。6月27日の討論会で、言い間違いや言葉に詰まるなど、大きな失態を演じたバイデン大統領ですが、ニューヨーク・タイムズが7月3日、「大統領が選挙戦から撤退する可能性に言及した」と報じました。

バイデン氏は側近に対し「数日の間に自身が大統領にふさわしいと国民を説得できなければ、選挙戦を維持できない可能性を理解している」と語ったというのです。バイデン氏は週末にかけてテレビ局のインタビューや遊説を控えていて、こうした場で再び討論会のような失態を犯せば、立て直せないと認識しているとのことです。

しかし、ホワイトハウスは「完全なウソだ」と即座に否定しています。

ただ身内からも厳しい声が出てきています。民主党の議員数十人がバイデン大統領に撤退を求める書簡を出すことを検討していると報じられています。最新の世論調査でも、アメリカ人の5人に3人がバイデン氏は撤退すべきだと考えているとの結果が出ています。

では、代わりはいるのでしょうか。

ここにきて最有力の候補に浮上したのがハリス副大統領です。先ほどと同じ世論調査でハリス副大統領が候補者になった場合の支持率はトランプ氏が43%に対し、ハリス副大統領42%ということで、ほぼ互角です。

これまで目立った実績がないハリス氏ですが、副大統領であるため、これまでバイデン陣営が集めた資金や選挙スタッフなど、選挙活動のインフラをある程度引き継ぐことができます。そして、勝てば史上初の女性大統領になるということで、戦い方次第ではトランプ氏に勝てる可能性があるとみなされているようです。

突如「トランプ対ハリス」の対決となる可能性も浮上していますが、それとは別に今、「第3の候補者」として名乗りを上げた、ある人物が注目を集めています。

アメリカの首都ワシントン。5月に開かれた政治集会に登場したのは、11月の大統領選挙に無所属から立候補したロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)です。アメリカで根強い人気のあるジョン・F・ケネディ元大統領のおいにあたり、第3の候補として存在感を高めています。

弁護士として長年、環境問題に取り組んできましたが、ここ数年は「反ワクチン」を掲げています。この日の集会でもケネディ氏は「トランプ氏は科学的ソーシャルディスタンスを義務付けた。トランプ氏が退任すると、バイデン氏も基本的自由を侵害した」と、トランプ氏とバイデン氏が講じてきた新型コロナ対策を批判し、会場を沸かせました。

ケネディ氏は両候補の支持者の切り崩しを狙っています。

「過去2人の大統領の下で、若者はわが国への信頼を完全に失い、将来への希望も失った。今こそ、その希望と賞賛、誇りと尊敬を取り戻す時だ」

こうした訴えに支持者からは「彼の一族はアメリカ国民にとって素晴らしい財産だ。他の2人の選択肢はあまりよくない」「トランプ氏もバイデン氏も大統領にはふさわしくない」と声が上がります。

実はある世論調査では「バイデン氏とトランプ氏のどちらも嫌い」と答えた、いわゆるダブルヘイターと呼ばれる有権者の割合は25%に上っていて、過去10回の選挙で最も高くなっているのです。

第3の候補ケネディ氏の存在は、選挙戦にどのような影響をもたらすのでしょうか。

「ケネディ氏の当選はありえないが『壊し屋』にはなれる」(ジョージ・ワシントン大学のピーター・ロージ准教授)

勝敗を左右する激戦州の得票次第では、ケネディ氏が大きな影響を与えると指摘しました。

バイデン氏とトランプ氏が支持率40%前後で推移する中、現在10%ほどの支持を集めるケネディ氏の存在はどちらにとって有利に働くのでしょうか?

「最近では第3の候補が民主党の候補から票を奪った例がある。ケネディ氏がバイデン氏から票を奪い、トランプ氏の当選を助ける可能性がある」(ピーター・ロージ准教授)

※ワールドビジネスサテライト