韓銀「不動産PF・自営業者の延滞率、尋常でない」警告

AI要約

韓国銀行が不動産プロジェクトファイナンス(PF)と自営業者への融資に対して不良リスクの警告灯をともした。不良率の増加や過去と比較しての急激な延滞率の上昇が懸念されている。

不動産PF融資に関しては、延滞率が上昇し、特に証券会社や貯蓄銀行といった金融機関で問題が顕著であると指摘されている。

自営業者への融資においても、延滞率が上昇しており、特に多重債務者や低所得の脆弱借主に関してリスクが高まっていることが報告されている。

韓銀「不動産PF・自営業者の延滞率、尋常でない」警告

 韓国銀行が不動産プロジェクトファイナンス(PF)と自営業者への融資に対して「不良リスク」の警告灯をともした。第二金融圏(ノンバンク)と脆弱借主を中心に、ここのところ延滞率が大きく高まっているという診断からだ。

 韓銀が26日に発表した「2024年上半期金融安定報告書」によると、金融会社の不動産PF融資の残高は今年第1四半期末基準で134兆2000億ウォン(約15.4兆円)で、昨年(135兆6000億ウォン)より小幅に減少した。不動産景気の低迷とテヨン建設の不渡り危機で新規融資の取り扱いを自制したためだ。

 しかし、融資の健全性を示す延滞率は上昇傾向が続いている。今年第1四半期末基準で3.6%で、昨年末(2.7%)より1%ほど上昇した。2022年(1.2%)と比べると3倍水準だ。特に、不動産のPF・エクスポージャー(危険露出額)が多い証券会社(17.6%)と貯蓄銀行(11.3%)の延滞率上昇が激しい。

 韓銀は、ブリッジローン(着工前の融資)と本PFは両方とも融資の質が悪くなったと評価した。ブリッジローンが本PFの融資に転換できず満期を延長するケースが多く、これによって貸付期間が延び、金利も上がったということだ。特に、PF融資を基盤に作った流動化証券の支払いを保証した中小証券会社と不動産信託会社の不良が急速に増えていると診断した。流動化証券のエクスポージャーは、証券会社18兆2000億ウォン(約2兆円)、信託会社5兆4千億ウォン(約6千億円)ほど。報告書は「不動産PFの金融圏全体のエクスポージャーは依然として230兆ウォン(約26.5兆円)規模と大きいうえに、不動産景気の不振が続き、建設原価の上昇でPFの事業性もまた低くなり、不良リスクが増大した状況」だとし「一部のノンバンク圏では延滞率が急速に上昇しており、不良資産に対する競売・公売を通じて積極的にリスクを管理しなければならない」と強調した。

 最近の自営業者への融資の延滞率も尋常ではないというのが韓銀の診断だ。報告書によれば、自営業者の延滞率は2022年第2四半期末の0.50%から、今年第1四半期末には1.52%へと3倍ほど上昇した。特に自営業者のうち多重債務者でありながら低所得だったり、低信用者である脆弱借主の延滞率は10.21%に急上昇した。自営業者向け融資のうち、脆弱借主の割合(12.7%)も一般家計向け融資の脆弱借主の割合(6.4%)の2倍だ。家計向け融資の1人当たり平均延滞額は2700万ウォン(約310万円)、自営業者は1億2200万ウォン(約1400万円)に上る。自営業者向け融資の延滞持続率は74.6%で、4人に3人は延滞の連鎖から抜け出せずにいる。自営業者向け融資規模は第1四半期末基準で1056兆ウォン(約121兆円)だ。

 過去の金利上昇期と比べても、最近の自営業者の延滞率上昇は激しいと韓銀は評価した。その理由としては、貸付金利の上昇幅が過去より相対的に大きく、自営業と直結したサービス業の景気が2022年下半期以後に萎縮した点を挙げた。また、個人事業者の主な担保融資対象である商業用不動産市場が不振だった点も影響を及ぼしたとみなした。韓国銀行のソ・ピョンソク金融安定企画部長は「新型コロナ以後、内需回復傾向が不振で高金利状況が続き、自営業者の困難が大きくなっている」として「延滞率の絶対水準はそれほど高くはないが、延滞率の上昇速度が過去より上がっている」と診断した。

 報告書は「当分の間、自営業者を中心に延滞率上昇圧力が続くとみられるだけに、金融当局は債務返済能力が大きく落ちたり再生の可能性がない自営業者に対する債務再調整を積極的に推進する必要がある」と明らかにした。

キム・フェスン、チョ・ヘヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )